レース中、各ドライバーは“プッシュ・トゥ・パス”機能を1回だけ使用可能できるほか、それよりわずかに出力を抑えた“ファイトバック”モードも用意される。これらの機能を使ってオーバテイクや逆転劇を演出するという。
そして各バトルでのレース後、マシンは観戦するファンの前で車両を充電できる中央の“エネルギー・ステーション”に戻り、バッテリーを充電。次のレースに向けて順を整える。
このユニークなフォーマットを採用したピュアETCRの初年度はプロモーション・イベントで幕を開け、最大500kWを誇るETCRマシンは7月9〜12日に開催のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)に集結。世界的に有名なタイムトライアルでパフォーマンスを披露する。
2020年プレシーズンは全4戦が予定され、7月のオーストリア・ザルツブルクリンク(WTCR併催)を皮切りに、8月の第2戦デンマークでは首都コペンハーゲン市街地を使用した“ヒストリック・グランプリ・ストリートレース”の一部として開催。10月はふたたびWTCR併催となるの韓国インジェ戦を経て、11月の中国・広東国際サーキットまで続いていく。
そして2021年に入ると1月のデイトナ24時間で2度目のプロモーション・イベントが開催され、本格なチャンピオンシップ初年度となる2021年には全8戦を予定。2022年にはさらに2戦が追加される見込みとなっている。
WTCRと同様、シリーズのプロモーターを務めるユーロスポーツ・イベントのフランソワ・リベイロ代表は、概要発表の席上で次のように挨拶した。
「我々は“ピュアなモーターレーシング”を標榜した、新たなシリーズの立ち上げを宣言する。このピュアETCRはハイパフォーマンス車両に最高のツーリングカードライバーたち、そしてトラック上の迫力や興奮のすべての要素を兼ね備えている」
ピュアETCRのシリーズ代表に就任したシャビエル・ガヴォリは「私たちの目標は、電動モビリティの未来を非常にスペクタクルな方法で促進すること。現時点で、最初のシーズンには6つのマニュファクチャラーが集うことを期待している」と語っている。
「私たちは非常に先鋭的な方法でレースフォーマットをまとめた。通常のサーキットレースで採用されているすべてのことについて、知っていることは忘れてもらったほうが良いだろうね」

