一方、アウグスト・ファーフスに代わってWTCRでのレギュラーシートを射止めたルカ・エングストラーは、2019年マカオのワイルドカード枠参戦で14位に終わった経験から「さらに上を目指したい」と意気込む。
「WTCRのグリッドに並ぶことは、僕にとって長年の夢だった。このTCRでのレースが大好きだし、疑いようもなくヒュンダイi30 N TCRはカテゴリーで最高のマシンの1台だ」と続けたエングストラー。
元WTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦した父フランツのチームで修行を積み、ここまでTCRミドル・イースト初代王者を筆頭に、TCRアジア、TCRマレーシアをともに連覇するなど、若干20歳ながら複数のシリーズタイトルを手にしてきた。
「ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門にも感謝しなくちゃならない。2019年はジュニアプログラムの一環として、僕は彼らの知識やノウハウを活用し、ノルビーやガブリエレ、ニッキーらの速い先輩たちから学ぶことができた」
「それに昨年はマカオGPでドライブできたのも最高の経験だった。僕を信じて機会をくれた彼らに恩返しがしたいし、あの素晴らしい体験がシーズンでの助けになってくれると信じているよ」
一方、2019年からWTCRへの本格的なブランド参入を開始したリンク・アンド・コーは、ジーリー傘下のボルボでレース活動を担当したシアン・レーシングのオペレーションにより、イバン・ミューラー、テッド・ビョーク、ヤン・エルラシェール、そしてアンディ・プリオールという豪華布陣を敷き通算8勝、21の表彰台を獲得した。
陣営は引き続き4台のリンク・アンド・コー03 TCRをシリーズへ投入することを表明したが、プログラムのドライバーラインアップはまだ未確定のまま。しかしミューラーによるドライバーズランキング3位からの挽回と、チームチャンピオンシップの防衛を狙うことが確実視される。
「我々の目標は明確で、昨年の成績を上回るリザルトを狙って上位を走りたい。トップへの挑戦はより厳しくなると思うし、競合他社も進化するだろう。しかし我々も、2019年にはスウェーデンから中国まで全員の努力の結果を目の当たりにしたし、リンク・アンド・コーTCRの速さにも自信を持っている」と、Cyan RacingのCEO兼創設者であるクリスチャン・ダール。
このリンク・アンド・コー・シアン・レーシングのアナウンスにより、2020年シーズンへのエントリーを公式表明したのは、ヒュンダイ陣営の4台、オールインクルーシブ・ミュニッヒ・モータースポーツのFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRが4台、そしてコムトゥユー・レーシングに残留したトム・コロネルのアウディRS3 LMSの計9台となっている。

