セーフティカー出動後は、この悪夢をすり抜けていたファビアン・クルサード(フォード・マスタング/DJR Team Penske)と、Walkinshaw Andretti Unitedの新エース、チャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)の一騎討ちとなり、なぜかSCピリオド中にピット作業を消化しなかったクルサードが終盤にトラックから去り勝負あり。
モスタートがeシリーズ初勝利を挙げ、元同僚のTickford Racing、キャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング)と、ルーキーのゼイン・ゴダード(ホールデン・コモドアZB/Matt Stone Racing)が続くトップ3となった。
■ワトキンスグレン・ラウンドも波乱の展開に
さらにこの夜ふたつめのトラックに舞台を移し、ワイルドカード枠もうひとりの注目株、VASCの2003-04年王者マルコス・アンブローズが豪州出身者唯一の勝利を挙げた地、ワトキンスグレンでの2レースが争われた。
その最初のヒートに向け予選でポールを獲得していたSVGは、モントリオールでも前後を分けあったパスカーレ、マクラフランとともにカオスとは無縁の静かなスタートを切るも、あまりにも安全策を採りすぎたか1コーナーまでに6番手にまで後退することに。
これで勝負の行方が絞られ、マクラフランはアーリーピットでアンダーカットの期待を掛けるも、パスカーレの前に出ることはかなわず。そのままパスカーレが勝利を飾り、マクラフランが2位、SVGが3位のリザルトとなった。
そしてこの日最後のヒートとなるザ・グレンでのレース2は、リバースグリッドによりふたたびカオスが演出され、2度目のリバースポールについたスミスのホールデンを挟むように、クリス・ピザー(ホールデン・コモドアZB/Team Sydney)がインサイド、R2で3位入賞のゴダードがアウトサイドに並び掛けると、迫る1コーナーで首位に立ったゴダードがスピンオフ。
これを引き金にチェーンリアクションとなり、ウィル・デイビソン(フォード・マスタング/23Red Racing)がターン1のウォールに激しくヒット。トラック上に跳ね返ったマシンを避けるように、後続のクルサードらがコースオフを喫し大混乱に陥っていく。
これを掻い潜って好機を手にしたのは、8番グリッドからスタートしていた7冠王者ジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)で、ここまでSimレースに苦しんでいたレッドブル・レーシング・ホールデンの絶対王者は、18歳のSuper2参戦組である同チームの秘蔵っ子、アンジェロ・ムザリス(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)との勝負も制し、彼が他車との接触スピンで去ったことでeシリーズ初勝利を獲得。
その後方では熾烈なポジション争いを制したワイルドカード組のアレクサンダー・ロッシ(ホールデン・コモドアZB/Walkinshaw Andretti United)が、マクラフランを抑えて2位に入り、SVG、ウォーターズが続くトップ5に。一時3番手争いを展開したゲスト組アンブローズも、得意のグレンで6位に入る力走を見せた。
続く『Supercars All Stars Eseries』第5戦はヨーロッパに向かい、F1カレンダーを代表するトラックであるベルギーのスパ・フランコルシャン単独開催で、5月6日(水)に3ヒートでの勝負が繰り広げられる。


