WTCR:ハンガリーのゼングー、2018年のDTM戦で負傷したマーシャルにTCRドライブの機会を提供
「でもチームはブレーキペダルを広げる措置を取ってくれて、義足をそこに固定してくれた。だから義足で踏み込めない場合や不測の事態に陥った際は、右足で踏み換えることが可能になった。コーナーでのGに耐えるためにも、義足は固定する必要があったんだ」
これまではレーシングカーの座席に座ったことはあれど、実際にドライブした経験はなく、シミュレーターやカートで競技の状況を体験してきたというラースロー。今回のテストはゾルタン・ゼングー代表率いるZengő Motorsportが2019年のWTCR地元戦にワイルドカード参戦してカムバックした際、マーシャルとして現場に復帰していたラースローとの出会いにより実現したのだという。
「テスト前のブリーフィングでは『今回はラップタイムを追うものではなく、レースカーをドライブする感覚を得るのが最大の目標だ』と説明された。30分のセッション2回で17周を走ったけれど、その脇には彼らのレギュラードライバーであるベンスが座ってくれた」
「彼の指示に従って、すべてのコーナーで安全な長い制動距離を確保しマージンを取ったけれど、その状況でさえターン11では冷えたリヤタイヤの挙動を感じることもできた。恐ろしい瞬間だったけど、なんとかカウンターステアを当ててコースに留まることができたよ」
「今回のべストラップは2分08秒570。限界に挑戦しようとしなくても速いマシンだと理解できたよ。事故の前はグラフィックデザイナーとして働いていて、リハビリから復帰後も職場に戻ったけれど、何かが物足りない気がしてパラ・テックポン(弓状卓球台を使用した球技)を始めてみたんだ」
「その感覚に虜になった今は競技優先の生活に切り替えたのと同時に、アニメーターとして(テックポンやテックボールなど)パラ・テックスポーツの普及に取り組む仕事をしているんだ。機会があればレースにも挑戦したいと思っている」