しかしブラウンは続く高速ダウンヒル・セクション“The Esses”でウォールの餌食となり、結果的に首位のハンソンは序盤戦でセーフティマージンを手にする。

 全長6.213kmのマウントパノラマで必死の逃げを打つハンソンだが、後続にはピーター・ボダノヴィッチ(ヒュンダイi30 N TCR/Racing Sims NZ)を先頭にトレイン状態で追走集団が迫り、迎えた5周目。ハンソンが“The Esses”で犯したミスを皮切りに、レースは混沌とした状況に突入していく。

 壁へのヒットで弾かれたハンソンのアルファロメオは、すぐ背後にいたボダノヴィッチのヒュンダイや、マーティンのホンダを巻き添えにサイドウェイ。その隙間を、4番手のルーク・キング(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Luke King Racing)が突破していく。

 そのまま混戦状態でバックストレートに飛び出した集団内では、ハンセンに弾かれたマーティンがスピンモードに陥りクラッシュを喫し、ハンセンもまたトニー・ダルベルト(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/Wall Racing)らにプッシングを受けグラスエリアを滑走。続く6ラップ目に入っても各所でバトルが頻発する。

 しかし、この展開で楽になったはずの首位キングは、その6周目にまさかの事態に。丘の頂点となる“Skyline”を通過した彼のゴルフは360°ターンのスピンを喫し、転がり落ちるように“The Esses”へ突入。2番手にいたボダノヴィッチにトップランを明け渡す失態を犯してしまう。

 それでもロスを最小限に留め、2番手追走を開始したキングは、7周目にスリップストリームの攻防ですぐに首位を奪い返し、後方のバトルを尻目にeシリーズ初勝利を手にした。

「なんだかとんでもないレースになったけど、楽しかったね」と振り返ったキング。「レースは最初から“スクラップ”状態で、混乱に乗じて首位のジェイをパスしたことも、その後の自分のペースが良いこともわかっていた」

「でも気づいたら、直後に丘のてっぺんで360°を決めていた(笑)。最終的に自分が勝ったなんて信じられないし、どうやってリードを取り戻したかも分からないけど、こんなラッキーがときどきあるものなんだね」

 2位ボダノヴィッチ、3位ローワン・シェパード(アウディRS3 LMS/Track Tec Racing)に続き、4位にはダルベルトとの激闘を制したバルグワナが入っている。

 続くTCR Australia SimRacing Series第3戦は、現実のシリーズ開幕戦の舞台でもあるシドニー・モータースポーツパークで7月15日(水)に争われる。

レース中に360°を決めながらも、大混乱のレースを制したルーク・キング(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Luke King Racing)
レース中に360°を決めながらも、大混乱のレースを制したルーク・キング(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Luke King Racing)

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