一方、そのアズコナに勝利を譲ったナジーは、レースを支配しながらすべてを失った落胆を隠さなかった。
「いつもどおりの展開でレース1を戦っていたが、現時点で何が起こったのかまったく分からない。スタートからフィニッシュまで全体を録画しているので、それをもう一度、見返してみるつもりだ」とナジー。
「これはeスポーツドライバーに起こり得る最悪の事態だと思う。レース全体をリードしていて、ゲームがクラッシュした。本当に悪夢だよ……」
しかしレース2を13番グリッドから発進したナジーは、トップ10リバースグリッドの構成にも助けられ怒涛のチャージを開始すると、3周目には早くも4番手にまで進出。その後も、上位勢がバトルで脱落する状況も味方となり1周1台のペースで仕留めていき、6周目にはなんと首位浮上に成功する。
その後も手を緩めることなく驚異的ペースを刻んだナジーは、2位テディ・クレーレに5.408秒、3位ニコラス・バート(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)に9.944秒ものマージンを築きフィニッシュラインへ。ダブルウインこそ逃したものの、失意のレース1を取り戻す勝利を飾っている。
「レース2も簡単ではなかったけど、レース1の後で想像ができるように僕は本当にイライラして、フラストレーションが溜まっていた。自分自身の心を再起動してとにかく集中しようとしたんだ」と、難しい心中を振り返ったナジー。
「気をつけようとしていたけど、前のマシンをプッシングして押し出してしまう場面もあった。その意味でも怖いレースだったが、レース1を取り戻す勝利が挙げられてうれしい。ファンとサポーターのためにも、本当に注意深くてクリーンなレースをしたかったんだ」
この結果、スタンディングでも2位ボルディズに64ポイント、3位マグナスに86ポイント差へとリードを拡大したナジー。続く『TCRヨーロッパ SIM Racing』シリーズ第6戦は、延期されていたベルギー・ゾルダーでの1戦が7月13日(月)に予定されている。

