そのウルティアがキャリアの大幅な軌道修正を決断したのが2019年で、アウディスポーツのトップカスタマーであるTeam WRTに加入し、TCRヨーロッパと同ベネルクス・シリーズにチャレンジ。自身初のツーリングカーながらアウディRS3 LMSの個性を素早く習得したウルティアは、ヨーロッパでランキング3位、ベネルクスで同4位という、デビューイヤーとして上々の戦績を収めた。
「そう、僕はまだ明らかに若いドライバーで、この先も長年にわたってCyan RacingとWTCRに参戦し続けたいと思っている。この機会とチームからの信頼を得たことに本当に感謝しているし、皆の期待に応えるために全てを捧げたい」と続けたウルティア。
「もちろん、簡単なことではないと理解しているけれど、難しいからこそレースを愛しているんだ。いまはシミュレーターで多くの準備を重ねていて、カレンダーに載るいくつかのサーキットもテストする予定だ。その意味でも、シーズンに向け自信を持っているよ」
ウルティア起用を決めたCyan Racingのマネージングディレクター、フレデリック・ウォーレンは、彼が今後1年間にわたってチームの強力なパートとして機能し「実力を証明することを確信している」と語った。
「テストでの力強いパフォーマンスと可能性を確認し、我々はサンティアゴとともにシーズンを戦うことを決めた」と説明するウォーレン。
「そのテスト時点で彼はチームのメンバーと非常に打ち解け、上手く意思疎通をしていたことに加え、コクピットに座ってステアリングを握ると、すぐに抜群のペースを示したんだ」
WTCR世界ツーリングカー・カップの2020年シーズンは、9月12〜13日のオーストリア・ザルツブルクリンクで幕を開ける予定で、ウルティアはいつもより少し遅れたスケジュールで世界戦デビューを飾ることとなる。

