更新日: 2020.08.16 13:53
長所を活かせず、苦戦が続いた末の今季初優勝。松下信治「失いつつある自信を取り戻せた」/FIA-F2第6戦
──ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)の崩れ方を見ていると、戦略的にはソフト→ハードが正解だったように思えます。
松下:どうなんでしょう。意外にソフトが保ったので、SCのリスクを考えれば、ソフト→ハードの方が良かったかもしれません。でも実質的には、そんなに違いはなかった印象です。
いずれにしても僕の位置からだと、皆と同じソフト→ハードでは勝機はなかった。エンジニアはソフト→ハードを主張したのですが、こちらに賭けました。SCが出たら終わりですけど、逆に最高のタイミングで来てくれました。
──あのタイミングでソフトに交換して、最後まで保つと思っていましたか?
松下:序盤に10周保っていましたからね。燃料の軽い終盤なら、大丈夫だろうと思いました。
──チームメイトだけは、序盤に異常にソフトが長持ちしてました。
松下:ええ。リヤが柔らかいセッティングが良かったみたいです。
──予選でのチームメイトとのタイム差が、開幕以降いっそう開いている印象です。自分の運転に自信をなくしていたことも、関係していますか?
松下:それは、間違いなくありましたね。チームメイトが速いので、そのドライビングスタイルに合わせようとする。そうすると自分本来の良さは消えるし、簡単に合わせることもできない。どっちつかずの状態になってしまう。予選になるとどうしても、奥までブレーキングを行こうとか思ってしまいました。
──次戦以降、改善できそうですか?
松下:問題点は見えていますから。チームメイトは予選でかなり速いので、データをしっかり比較しようと思います。とにかく予選で前に行かないと、話にならないですから。
──今日のレースは今までのキャリアの中でも、最高のひとつではないですか?
松下:確かに自分の置かれた苦しい状況のなかで、あきらめずにしっかり仕事をしたという意味では、評価できるレースです。でもパフォーマンス的には、満足できていないです。なのでベストレースとは感じていないですね。いい位置からスタートして、SCの助けもなく勝つのが一番ですから。ストーリーとしては、18番手からの優勝はかっこいいですけどね(笑)。なのでそんなに浮かれてはいないです。
──去年のモンツァでの優勝の方がうれしかったですか?
松下:そうですね。モンツァとか、レッドブルリンクの優勝とか。
──ここ数戦、ずっと悩んでいたと思うのですが。
松下:今まででは、一番の悩みでしたね。予想していた自分の位置とは、真逆にいる。それが本当に厳しかった。なんとかトップ10内にいるなら、まだわかる。でもそのレベルじゃなかったですからね。辛かったです。
ただレースペースの良さは支えになってたし、投げ出さなくて良かったです。ここからもう一回、去年のようなレースが続けられれば、まだ選手権4位とかのチャンスもあると思いますし。最低でも、そこは取りたい。応援してくれてる人たちとも、それは約束しましたからね。