──ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)の崩れ方を見ていると、戦略的にはソフト→ハードが正解だったように思えます。

松下:どうなんでしょう。意外にソフトが保ったので、SCのリスクを考えれば、ソフト→ハードの方が良かったかもしれません。でも実質的には、そんなに違いはなかった印象です。

 いずれにしても僕の位置からだと、皆と同じソフト→ハードでは勝機はなかった。エンジニアはソフト→ハードを主張したのですが、こちらに賭けました。SCが出たら終わりですけど、逆に最高のタイミングで来てくれました。

──あのタイミングでソフトに交換して、最後まで保つと思っていましたか?

松下:序盤に10周保っていましたからね。燃料の軽い終盤なら、大丈夫だろうと思いました。

2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1 終盤トップを走る角田裕毅(カーリン)と松下信治(MPモータースポーツ)

──チームメイトだけは、序盤に異常にソフトが長持ちしてました。

松下:ええ。リヤが柔らかいセッティングが良かったみたいです。

──予選でのチームメイトとのタイム差が、開幕以降いっそう開いている印象です。自分の運転に自信をなくしていたことも、関係していますか?

松下:それは、間違いなくありましたね。チームメイトが速いので、そのドライビングスタイルに合わせようとする。そうすると自分本来の良さは消えるし、簡単に合わせることもできない。どっちつかずの状態になってしまう。予選になるとどうしても、奥までブレーキングを行こうとか思ってしまいました。

──次戦以降、改善できそうですか?

松下:問題点は見えていますから。チームメイトは予選でかなり速いので、データをしっかり比較しようと思います。とにかく予選で前に行かないと、話にならないですから。

──今日のレースは今までのキャリアの中でも、最高のひとつではないですか?

松下:確かに自分の置かれた苦しい状況のなかで、あきらめずにしっかり仕事をしたという意味では、評価できるレースです。でもパフォーマンス的には、満足できていないです。なのでベストレースとは感じていないですね。いい位置からスタートして、SCの助けもなく勝つのが一番ですから。ストーリーとしては、18番手からの優勝はかっこいいですけどね(笑)。なのでそんなに浮かれてはいないです。

──去年のモンツァでの優勝の方がうれしかったですか?

松下:そうですね。モンツァとか、レッドブルリンクの優勝とか。

──ここ数戦、ずっと悩んでいたと思うのですが。

松下:今まででは、一番の悩みでしたね。予想していた自分の位置とは、真逆にいる。それが本当に厳しかった。なんとかトップ10内にいるなら、まだわかる。でもそのレベルじゃなかったですからね。辛かったです。

 ただレースペースの良さは支えになってたし、投げ出さなくて良かったです。ここからもう一回、去年のようなレースが続けられれば、まだ選手権4位とかのチャンスもあると思いますし。最低でも、そこは取りたい。応援してくれてる人たちとも、それは約束しましたからね。

2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1 松下信治(MPモータースポーツ)
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1表彰台 松下信治(MPモータースポーツ)、ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)、周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1
2020年FIA-F2第6戦スペイン レース1 今シーズン初優勝を飾った松下信治(MPモータースポーツ)

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