表彰台争いはこのアクションが最終的な決定打となり、10周のスプリント勝負はトップ3台がほぼトレイン状態でフィニッシュ。ロイドが2020年オープニングレースで「感動的な結果」を手にし、ベナーニ、フィリピが並ぶポディウムに。
その背後には4位テディ、6位ジミーのクレーレ兄弟(プジョー308TCR/Team Clairet Sport)に挟まれる形でジロラミが初参戦で5位フィニッシュ。
6番手争いの集団にいたバックマン兄妹とオリオラは、全員がダメージを被る断続的バトルで、7位の兄アンドレアス以外はトップ10リザルトを失う結末となっている。
明けた日曜のレース2は、前日トップ10リバースグリッドで最前列についたハルダー兄妹の兄、マイクが千載一遇の好機を活用。
2016年の創設時からTCRドイツ・シリーズを主戦場として来た兄妹は、現WTCR王者ノルベルト・ミケリスもゲスト参戦したニュルブルクリンクでの2020年第2戦で、レース後の失格裁定に抗議の意思を示すべく、物議を醸す“シリーズ電撃撤退”を表明。その数日後には妹とともに、開幕目前だったヨーロッパ・シリーズへのフル参戦プログラム移行を発表していた。
リバースポールから発進のマイクはわずかに出遅れたものの、フロントロウに並んでいた18歳のサミ・タウフィク(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)がジャンプスタートの裁定を受けたため、オープニングラップでセーフティマージンを得ることに成功。
その後方では集団バトルの末にテディ・クレーレのプジョーをパスしたジロラミが2番手に浮上し、そのまま10周のチェッカー。「自分のレースペースが信じられない気分だった。これは間違いなく、僕のレーシングキャリアで最も価値のある勝利だと言える」と語ったマイク・ハルダーが、2位ジロラミ、3位テディ・クレーレを従えて、シリーズ移籍デビュー戦を値千金のライト・トゥ・フラッグで飾っている。
これでロイドがシリーズ首位に立ち、ベナーニが追う展開となった2020年のTCRヨーロッパ・シリーズ。続く第2戦は3週間後、9月12〜13日にベルギーのゾルダーで争われる。


