しかし13周のレース1はそれ以上のポジション変動なくチェッカーを迎え、ジロラミがライト・トゥ・フラッグで2020年の幕開けを祝い、2位ビョークを挟んで3位にもシビックのタッシが入るなど、Münnich陣営にとっては2台ずつ両極端な結果を手にする、複雑な心境のオープニングレースとなった。
「まずチームのみんなに心からおめでとうを言いたい。今季が始まるのを長い間耐え抜いて待った彼らは、今日ここで素晴らしい仕事を成し遂げた」と、シリーズ通算4勝目を飾ったアルゼンチン出身のジロラミ。
「この勝利を得たことはメカニックたちにも良いプレゼントになったし、個人的には僕の小さな我が子と妻にも捧げたいと思う」と、今年1月に父親になったばかりのジロラミ。
続いて日曜午後に開催されたレース2は前日予選結果でのグリッドが採用され、まずはポールシッターのベルトンが抜群の蹴り出しでホールショット。2番手エルラシェールも、セカンドロウ3番手から僚友ベルトンのサポートを狙うマグナスのアウディを抑え、なんとかポジションをキープしていく。
その後方では、午前に表彰台を獲得したビョークとタッシがシケインで接触。シビックはドライバーから不評のタイヤバリアに激突し、ビョークのLynk&Co 03 TCRは宙を待った反動でサスペンションを破損し、ここでセーフティカーが導入される。
4周目にリスタートが切られると同時に、ポール発進だった首位ベルトンがまさかのジャンプスタートによるペナルティを宣告され、続く周回でドライブスルーを消化すると、エルラシェール、マグナス、ミューラー、ウルティアの4台によるマッチバトルが開演。
アウディ1台で孤軍奮闘した2番手の地元マグナスだったが、後方から迫る百戦錬磨のミューラーに気圧されたか、終盤のシケインでついにオーバーシュート。これで悠々、Lynk&Co艦隊を形成したCyan Racingがそのままチェッカーをくぐり、甥のエルラシェールに続き2位に入ったミューラーは、今季からペアを組むチームメイトの勝利を祝福すると同時に「私にとって、このワン・ツーでの2位は勝利に等しい」と、叔父の顔を覗かせてファミリーでの快挙を祝った。
これで7位、優勝と連続ポイントでエルラシェールが選手権リーダーに立った2020年WTCRシーズン。続く第2戦は9月24〜26日にドイツ・ニュルブルクリンクの難関コース、ノルドシュライフェを舞台に争われる。



