続くレース2もそのままFF勢が序盤を支配したものの、ここでディフェンディングチャンピオンが巧者ぶりを発揮し、BMWの底力を見せる。
レース1の借りを返すとばかりに、まずは2番手イングラムがシビックを攻略し、オープニングのブルックランズで首位に浮上すると、その背後では5番手サットンもコプスでBMWを仕留めて4番手へ。しかしこれが運命の分かれ道となり、インフィニティは続くべケッツで3番手のブッチャーに接触。このアクシデントでフォード・フォーカスはたまらずスピンを喫し、サットンも10番手にまでポジションを落とす厳しい展開となる。
これで労せず表彰台圏内へと上がったターキントンは、15周目にカミッシュをかわして2番手へ。そのままイングラムに迫ろうかとしたそのとき、トヨタ・カローラBTCCの左フロントタイヤに異変が生じ、パンクのためピットへと急行。さらにポジション挽回を期した選手権首位サットンも同様のトラブルでピットロードへ向かうと、コース上で直接のライバルが去ったターキントンが自身150回目のポディウムを勝利で飾り、ランキング首位を奪う結果となった。
そして最終レース3は、トップ10リバースの抽選でポールを得たフォードのジャクソンが、2番手トム・オリファント(BMW330i Mスポーツ/チームBMW)、3番手ジェイク・ヒル(ホンダ・シビック・タイプR/MB Motorsport accelerated by Blue Square)らを従え豪快なドライブで首位を守ると、その直後にドラマが発生する。
トヨタのイングラムが中団のクラッシュに巻き込まれたのを皮切りに車列に不穏な空気が漂うと、14番手発進でチャージを掛けていたフォードのブッチャーが、大ベテランのニールと絡み大クラッシュ。
コプスでアウトサイドから仕掛けたブッチャーのフォーカスは、続くマゴッツでシビックに接触し高速でグラスエリアを横切ると、コース内側のバリアにヒットし宙を舞い、べケッツ出口まで回転しながら飛ばされストップ。これでレースは6周目に赤旗中断となった。
車両回収とバリア修復後、残り12周スプリントで再開されたレースは、首位ジャクソンと2番手オリファントの争いが続くも、その背後から猛烈な勢いで迫ったのがインフィニティのサットン。
リスタートで車間が詰まった好機を捉えオーバーテイクショーを演じたサットンは、猛然とチャージを続けファイナルラップを目前に首位2台の背後に到達。コプスではBMWとのサイド・バイ・サイドを演じ2番手へと浮上する。
しかしこの2台のFRバトルに助けられた首位ジャクソンはそのままチェッカーをくぐり、うれしいBTCC初勝利をその手に。2位サットン、3位オリファントの順でフィニッシュラインをくぐるも、レース後には幾度もポジションを入れ替えたこのFRバトルに関し「サットンの側に不当なアドバンテージが生じる動きがあった」との裁定が下り、ふたりの立ち位置が逆転。それでもサットンは値千金の挽回劇でわずか4点差で選手権首位を奪還するリザルトを手にした。
全9戦に短縮された2020年BTCCシリーズもいよいよ終盤戦を迎え、続く第8戦は10月10~11日の週末にクロフトで争われる。



