このリスタートで集中力を見せたのが3番手につけるハフで、前を行くブリンクのアウディに狙いを定めると、7周目のヘアピンでアウトサイドからオーバーテイクを決め2番手へ。
ここでもペースに苦しむブリンクは、ハグロフやミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(クプラ・レオン・コンペティションTCR/PWRレーシング)のPWR勢に再三のプレッシャーを掛けられるも、ともにペナルティ裁定で沈みなんとか3位表彰台を死守することに成功する。
最後の大一番を前に勝利したダールグレンと、2位ハフが184点の同ポイントで並び、ブリンクが6点差で追う文字どおりの三つ巴状態で、午後15時35分の2020年ファイナルに向けたお膳立てが整った。
前戦トップ8リバースポールを得たハグロフがタイトル争いの行方を握るキーパーソンになるかと目されたスタートでは、同じくリバースグリッドでフロントロウ2番手に並んでいた初参戦のケビン・エングマン(アウディRS3 LMS/ブロバーレン・デザイン)が抜群のダッシュを決めてターン1へ。しかしこれがジャンプスタートの裁定を受け、レース後20秒加算のペナルティを宣告される。
一方、6番手からの浮上を期したブリンクは、レース2でもやりあったコチュリンスキーとのバトルで再三の接触を繰り返し、今度はクプラをリタイアに追い込み警告を受けると、7番手発進のハフは9周目にコース上で首位をいくエングマンを抜き去り、ライバルのダールグレンもすぐさまそれに追随する。
しかしダールグレンは残り周回でハフを捉えることはできず、2.941秒差でチェッカーフラッグを潜り決着。ハフが2勝目を挙げるとともに、2002年のロベルト・コルチアゴ以来となる非スカンジナビアン系ドライバーとして久々のSTCCチャンピオンに輝く大逆転の結末となった。
「本当にクレイジーだ! なんて日、なんて勝利なんだろう! レストラップ・レーシングのクルー全員に心からの感謝を捧げたい。彼らがいなければこの成果を手にするのは不可能だっただろうね」と、喜びを語った2020年STCC王者のハフ。
「ファイナルでは良いポジションを得られて、それを守ることに専念した。レースをコントロールし、週末の初勝利から2勝を挙げることができた。今年は本当に大変なシーズンだったし、チームの全員にとって本当に素晴らしい報酬になったと思うよ」
これでレストラップ・レーシングがドライバーズ、チームの両タイトルを獲得して選手権完全制覇を達成し、代表のフレデリック・レストラップは「彼こそ間違いなく真に価値あるチャンピオンだ。来季もタイトルを守るためにふたたびSTCCに戻ってくるだろう」と、早くも2021年の戦いに目を向けている。


