残り2周で2番手オリオラのテールへと接近したタウフィクは、今季好調を維持するアウディのスピードを活かして世界戦経験者攻略を狙うも、オリオラは勝手知ったる地元サーキットで若手を封じることに成功し2位を死守。
その約5秒前方ではオープニングでホールショットを決めたハルダーが快適なマージンを維持してフィニッシュラインを越え、今季2勝目を獲得した最初のドライバーとなった。
「ここは僕が以前にも訪れたサーキットだし、良い思い出がある。2018年のレース2以来の勝利を飾れてうれしいよ。ホームのドイツからは遠く離れたが、僕らのチームは本当に良い仕事をした。選手権で大量ポイントを得られたのは素晴らしいね」と、喜びを語ったハルダー。
明けた日曜のレース2は、リバースグリッドのフロントロウにアンドレアスとジェシカのバックマン兄妹が並ぶと、3番手のジョン・フィリピ(ヒュンダイi30 N TCR/ターゲット・コンペティション)を引き連れターゲット・コンペティション艦隊が盤石の態勢で1コーナーへ。その背後には、7番手スタートから大きくジャンプアップを果たしたオリオラが続いていく。
さらに後方では、ウエイトハンデに苦しむロイドがオモラに接触し、ヒュンダイはダメージが大きくそのままピットで敢なくリタイアとなってしまう。
レース中盤の8周目には2番手争いの攻防が激化し、ジェシカは背後のフィリピから執拗なアタックを受けると、チームメイトの圧に耐え切れずスピンオフ。自力でコース復帰を果たしたものの、大きくポジションを失うことに。
続く9周目にはレース1の攻防で得た知識をフル活用したタウフィクが、ついにオリオラを抜き去り3番手へと浮上。その直後に前を行くフィリピにジェシカとの1件でドライブスルーの裁定が下り、タウフィクが労せずして2番手を手にする。
さらに10周目には同じくアウディに乗るベナーニがオリオラをかわして表彰台圏内へと上がり、そのまま12周のチェッカー。「アンダーステアがキツかったが、ラインをキープしてタイヤを発動させることに集中した」と語るアンドレアスが今季初勝利を挙げ、2台のアウディがポディウムを得る結果となった。
これでペナルティも絡み2戦連続でトップ10入りを逃したロイドが選手権首位から陥落し、ランキング4位へと後退。マイク・ハルダーが新たなポイントリーダーに浮上し、ベナーニ、ベアトのアウディ勢が追う展開へと変わったTCRヨーロッパ・シリーズ。続く第5戦は10月22~24日にスパ・フランコルシャンで争われる。


