「このマシンでのファーストラップは本当に奇妙な感じだったよ」と続けるファーフス。

「スピード感はあまり得られなかったけれど、ドライバーという人種はつねに限界に挑戦しようと試みるものだ。ブレーキング時には通常のICE(内燃機関)のようにエンジンブレーキがないから非常にユニークな感覚で、僕自身にとっては大きなチャレンジになると感じた」

「スローラップを経てすぐアタック周回に入ったが、ブレーキの掛け方がまったく異なることもあって、最初のコーナーでは文字どおりタイヤを4本ともフルロックさせた。僕はフルブレーキのペダル操作をする準備ができていたけど、その必要はないんだ。つまり、ドライビングの基本から学び直す必要がある。ピュアETCRのマシンはエンジン車両とはまったく異なる乗り物だと理解したよ」

 ロックさせてしまうと電力を回収する回生ブレーキの効率が落ちてしまう上に、充電時間を長く取ることも難しくなる。ワンメイク供給のグッドイヤータイヤを最大限活用することで、そのブレーキングゾーンを長く取れば立ち上がりで強力なトルクを発生する率も高まるため、競技には従来とは異なる次元の勝負が求められるとファーフス。

「タイヤ管理を最適化し、セットアップで適切な妥協点を見つけることが重要だ。必ずしも全体で最高のパッケージではなくても、それは可能になる。300kWで走ったときと、500kWで走ったときではクルマの性格から速さまで、すべての次元が違ってくる」

「もし、周囲をコンクリートウォールに囲まれた市街地サーキットでレースをするなら、新しいブレーキングの方法について真剣に学ぶ必要があるだろう。勝負に勝つためのパワーは、そのブレーキング方法で決まるからね。これは大いなる挑戦だ」

「タイヤの開発に関しては現時点では進行中のプロセスで、最適な管理方法に関しても学んでいる最中だ。初年度はクルマのパフォーマンスに100%集中するのは困難で、最高の平均的なセットアップを見つけ出すことができたチームが成功を収めるだろうね」

 2021年のピュアETCR本格始動に向け、プレシーズンと位置付ける2020年は、この後11月14~15日にイタリアのアドリア・インターナショナルレースウェイで引き続きテストイベントを開催し、その現場では新たなドライバーや参戦マニュファクチャラーの続報が見込まれている。

ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRのテスター兼開発ドライバー就任が決まったアウグスト・ファーフス
ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRのテスター兼開発ドライバー就任が決まったアウグスト・ファーフス
この後11月14〜15日にイタリアのアドリア・インターナショナルレースウェイで引き続きプレイベントを開催する予定だ
この後11月14〜15日にイタリアのアドリア・インターナショナルレースウェイで引き続きプレイベントを開催する予定だ

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