続く2周目には7番手発進だったジロラミがLynk&Co 03 TCRの背後に猛然と迫り、ミューラーを仕留めて表彰台圏内に浮上してくる。ジロラミはそのままポイントリーダーの背中を追い、Lynk&Co 03 TCRとテール・トゥ・ノーズの状態まで持ち込むが、同じく首位グエリエリのリヤバンパーに張り付いたエルラシェールを仕留めることはできず12周のチェッカー。
グエリエリがオープニングレースで幸先良くポール・トゥ・ウインを飾り、今季2勝目としてランキングも2番手に浮上。エルラシェール、ジロラミの背後にはミューラー、タッシの続くトップ5となった。
続いてQ2予選タイムトップ10のリバースグリッド採用レース2は、10番手だったジル・マグナス(アウディRS3 LMS/コムトゥユーDHLチーム・アウディスポーツ)が最低地上高違反でタイム抹消となり、代わって地元の期待を一身に背負うハンガリー出身のルーキー、ベンス・ボルティズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ)がリバースポールからのスタートに。
しかし序盤から躍進したLynk&Co艦隊には抗えず、エルラシェール&ミューラーの最強ファミリーがワン・ツー・フィニッシュを達成。最後のポディウムには、接触がありながらもオープニングでジャンプアップを見せたジャン-カール・ベルネイ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/チーム・ミュルサンヌ)が入った。
そして週末最終ヒートのレース3は、Q3の結果どおりホンダ勢4台がグリッド最上位からスタートすると、2番手タッシは大きく出遅れたものの、残るモンテイロ、ジロラミの2台がグエリエリを厳重警護するかのようにレースを支配する。そのまま15周を走破して、グエリエリが週末2勝目を獲得。FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRがポディウムを占拠する完璧な結果となったが、勝者グエリエリはその決勝後に「見た目ほど簡単なレースではなかった」と振り返った。
「この週末に2勝できたことはチームにとって最高の出来事だが、レース2を振り返ると1周目のターン2で混乱が起き、僕はグラベルの上を滑走した記憶がある。そこからわずかな異変を感じ、背後にいたティアゴも『何かが揺れている』と教えてくれた」と明かしたグエリエリ。
「レース3に向けてクルマはパルクフェルメにあったので詳しく見ることはできず、フォーメーションで確認したらブレーキングに違和感があった。グリッドではフロアとスプリッターをチェックし、問題がなさそうだからスタートしたが、速度が上がるとやはり何かがおかしかった」
「オープニングラップを終えてマシンは完全に壊れ始め、ブレーキングは本当に難しかった。原因はフェンダー内側のホイールアーチライナーで、スプリッターも破損した。止まるのも加速するのも遅く大変だったが、ふたりが完璧にサポートしてくれた。彼らがいなかったらもっと遅かっただろうし、この結果は得られなかったはずだ」
これでレース3を8位で終えたエルラシェールに対し、22点差まで詰め寄ったグエリエリ。残すは3戦6レースの2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップ、続く第5戦はスペインのモーターランド・アラゴンを舞台に10月30日~11月1日に争われる。



