続いてトップ8リバースグリッドで争われたレース2は、前戦を8位でフィニッシュしたシリーズ紅一点の実力者シュティフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック・レーシング/イヴェコ)が先頭でスタートを切るも、7番手降格で再びフロントロウの好機を得ていたヤニエックが、グリッドへの試走でまさかのスピンを喫し牽引される事態に。
この混乱で再び黄旗のもと遅れてスタートしたレースはアクシデント満載の荒れた展開となり、7周目には後方集団のクラッシュにより赤旗中断に。1時間半後に再度イエローのもと再開されたレースは、この時点で7番手発進から首位ハルムの背後にまで迫っていたキスが、彼女からリードを引き継ぐことに成功する。
ここからレースペースに苦しんだハルムは、テオ・カルヴェ(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)やレース1勝者ラッコのフレイトライナー勢にもかわされると、残り2周でアルバセテにも捕まり、トラックに異変を感じた彼女は“帝王”と同じ新型イヴェコS-WAYレーシング・トラックスをコースサイドに停めることに。
そのまま地元のヒーローであるキスが16秒差でトップチェッカーを飾り、2位には僚友をかわしたラッコ、カルヴェと続き、2台のフレイトライナーが表彰台を占拠する結果となった。
「本拠地で勝つのは素晴らしい気分だ。昨年までのメルセデスからスイッチした移籍初戦でもポールポジションを獲得でき開幕勝利も飾れたけど、予選ポジションが悪くこの大変なコンディションでも勝利を得られたことで、僕らの実力が本物であることを示せたと思う。明日はより自分たちに適したドライコンディションで戦えることを願うよ」と、土曜レース後に喜びを語ったキス。
すると、希望どおりドライに転じた日曜早朝の予選から有言実行を果たしたキスは、ラッコ、ハーン、アルバセテを抑えてスーパーポールを獲得すると、そのままレース3を完勝。
続く最終ヒートのレース4でもリバースの8番グリッドからオープニングラップで前方のライバルたちをまとめて仕留めて3番手に浮上すると、ハルム、ヤニエックも軽やかにオーバーテイクし、地元戦で見事なハットトリックを飾った。
この週末3勝でランキング首位に躍り出たキスに対し、6点差の2位ラッコ、20点差の3位ハーンが追う展開となった2020年のFIA欧州格式選手権のETRC。最終戦は11月14~15日にイタリアのミサノを舞台に開催される予定だ。


