コース上最速を誇るスペイン出身ドライバーは、この時点で3秒あった首位コロネルとのマージンをみるみる削り取ると、ファイナルラップ目前のバスストップでシビックを抜き去り、そのまま9周のトップチェッカー。シリーズレギュラー勢に格の違いを見せつける勝利を手にした。
「13番手からの勝負だったけど、レース用のタイヤ選択で絶対的に正しい判断を下すことができた。路面条件は実にトリッキーでトラック上にはまだ多くの水が残り、1周目はフロントのスリックにとにかく熱を入れることに集中した」と、戦況を振り返った勝者アズコナ。
「そこからのペースは本当に素晴らしくて、トムとの最後の勝負も本当にクリーンなものだった。僕らはドアとドアを擦り付けるほど接近していたけど、1度もコンタクトすることはなく。彼も無理にドアを閉めることはなかったので、トムに感謝しなければならないね。明日のレースも天気次第だが、乾いたとしてもチャンスはあると思っている」と語ったアズコナ。
その予想とは異なり、ウォームアップ時点でふたたび小雨の落ち始めたスパ・フランコルシャンで前日同様のタイヤチョイスを行ったアズコナは、レース2開始早々のセーフティカー介入後にハルダーと同郷ペペ・オリオラ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ブルタル・フィッシュ・レーシングチーム)を次々とオーバーテイクし、10ラップを走破して2戦連続の勝利を獲得。
2位にはファイナルラップの攻防で幾度もの接触を伴う肉弾戦の末にコロネルが逆転で続き、3位フィリピの表彰台に。4位テディ・クレーレ(プジョー308 TCR/チーム・クレーレ・スポーツ)、5位ニコラス・ベアトと、勝者クプラからホンダ、ヒュンダイ、プジョー、アウディと異なるブランドがトップ5を占める結果となった。
このリザルトによりハルダーが17点差でランキング首位を守り、2位ベナーニの背後にはフィリピとベアトが浮上。続く第6戦11月6~7日のスペイン・ハラマが、2020年TCRヨーロッパ・シリーズのタイトル決戦の地となる。


