7周目にレースが再開されると、その2周後にはなんとポイントリーダーのハルダーが1コーナーでコースオフ。フランコ・ジロラミを道連れに自身のレースを終え、タイトル獲得が遠のく結果となってしまう。
残り5周でセーフティカーが解除されると、首位アズコナは悠々レースをコントロールし、そのままライト・トゥ・フラッグでトップチェッカー。脱落したプジョーのジミー以外、トップ4の顔ぶれは変わらぬままフィニッシュとなり、4位ベナーニが8点差で選手権首位に立って、シーズン最終ヒートを迎えることとなった。
午後14時のレース2スタートを前に再びシャワーがサーキットを濡らし、グリッド各車は“ミックス・タイヤ”のセットアップでレースへ。ここで優位に立ったのはリバースポール発進のフィリピで、彼のヒュンダイは熾烈な2番手争いにも助けられ、序盤からみるみるギャップを広げていく。
その背後では、ヒュンダイのナジーがアンドレアス・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR/ターゲット・コンペティション)やアウディのベナーニ、プジョーのブリシュ、そして10番手から早くもポジションを上げてきたクプラのアズコナに責め立てられる展開に。
そんなバトルの渦中にあった4周目。マイク・ハルダーのシビックが再びコースオフを喫してバリアにクラッシュ。今季TCRドイツから急遽転身し、タイトル争いを牽引したハルダー兄弟の兄は、自らのドライビングエラーで欧州チャンピオン獲得の可能性を潰してしまう。
8周目のリスタート以降、ジュリアン・ブリシュ(プジョー308 TCR/JSBコンペティション)らとの攻防を繰り広げたベナーニが、最終的に勝者フィリピの背後2位で17周のチェッカーを受け、前戦勝者アズコナも4位までカムバック。この結果、昨季までWTCRに参戦していたベナーニがTCR規定シリーズでの初タイトルを獲得した。
「このカテゴリーでヨーロッパのチャンピオンになり、本当に競争の激しい分野で栄冠を手にするのは最高の気分だ」と、喜びを語ったベナーニ。
「競争相手には多くの有名トップランナーが揃っていたし、今季は未勝利でタイトルを獲得したが、つねにトップ3に入っていたことが結果につながった。その一貫性こそ成功のカギだったね。私の夢を実現させてくれた、モロッコ国王の継続的なサポートに感謝している」


