これで“実質最前列”からスタートを切ったルーキーのバカンだったが、後方5番グリッドから好発進を決めたウォール・レーシングのジョン・マーティン(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)にターン1で先行を許すことに。
すぐさま遅れを取り戻そうとターン6でシビックのインサイドに飛び込んだバカンだったが、止まりきれずワイドになり失速。このままふたりはポジションを入れ替えながらのバトルを3周近くも繰り広げる。
しかしタイヤウェアに問題を抱えていたマーティンがペースを落とし2番手へと下がると、ここからはルーキーにとって優しい展開となり、そのまま15周のチェッカーに向けて快走。バカンが参戦初年度でうれしい初優勝を手にし、モファットのルノー、そしてモスタートのアウディにもかわされたマーティンは、4位でレース1を終えている。
そのリザルト順のグリッドで始まったレース2は、初優勝で自信を得たバカンが同じく15周をライト・トゥ・フラッグでまとめて完勝。2番手発進だったモファットはスタートで出遅れて5位に終わり、モスタートが連続表彰台の2位に。6番手からスタートしたカルーソのアルファが最後の表彰台に滑り込んだ。
これで最終ヒートに向けセカンドロウを確保したカルーソは、そのスタートで抜群のトラクションを見せ、アルファロメオのボディをポールシッターのヒュンダイとピットウォールの隙間にねじ込むと、ターン1のインサイドを奪ってトップでターンインしていく。
その後もGRMの同僚である2台のプジョー308 TCRが絡む3回のセーフティカー出動にも対処し、リスタートごとにポジションを守り抜いたカルーソは「これでチームにプジョーの修理費がプレゼントできたね(笑)」と、シリーズがキャンセルされた2020年をまたいで2年越しのTCR初優勝を達成。2位にバカン、3位にはマルコムが続き、HMOのヒュンダイ勢がポディウムの脇を固めた。
この週末を経てランキング首位モスタートはさらにマージンを拡大し、2位の僚友ルーク・キングに対し106点差の大量リードを構築。連勝を飾ったバカンが3位に浮上している。
続くTCRオーストラリア第5戦は、クイーンズランド州の農村地帯に位置するモーガンパーク・レースウェイで、6月24~26日に開催される。


