更新日: 2021.05.11 14:29
BTCC開幕戦は中断多発の乱戦に。BTCホンダのクックが連勝発進。王者インフィニティも勝利
そして最終ヒートのレース3を前にコース上にはふたたび小雨が舞い、グリッドに並ぶ大半のマシンはレインタイヤを選択してのスタートに。これでアドバンテージを得たのがFR勢で、今季WSR加入のステファン・ジェリー(BMW330i M-Sport)やターキントン、そしてレース2でも9位カムバックを果たしたサットンらがリバースグリッドも活かして上位に進出していく。
しかしレース中盤にふたたび路面が乾き始めると、スリックを選択して賭けに出ていたヒルのフォードが息を吹き返し、9周目にサットンを捉えて首位浮上に成功する。しかしレースの神様はさらに試練を与え、ヒルのトップランが始まると同時にトラックにシャワーを浴びせ、高速スラクストンで排水に勝るレインタイヤ勢がふたたび反撃に転じる。
最終コーナーで首位に返り咲いたサットンが逃げを打ち始めると、スリックで粘るヒルの背後にはチャンピオン経験者のプラトとシェドンが迫ってくる。ともにウエットを装着したヴォクスホールとホンダはフォードに襲いかかり、最終ラップではついに団子状態に。
サットンが今季初勝利のフィニッシュラインを駆け抜けた一方、ホームストレートに向け3ワイドで立ち上がった後続3台は並んでチェッカーを受け、プラトが0.070秒差でヒルを刺して2位を奪取。シェドンはわずか0.166秒差で4位に敗れたものの、クラッシュからの復帰戦で集団後方から猛烈な追い上げを成功させ、NGTCマシンのドライビングが衰えていないことを証明した。
「ヒルと僕はレース3でまったく同じスリルを体験したと思うよ。いっときは『ああ、これで今日は負けだ』と思ったら、すぐにまたチャンスが戻ってくるんだからね! 正直言って、ドライでもウエットでもマシンバランスには満足しているよ」と勝者サットンが語れば、一時は勝利の見えたヒルも「アシュ(サットン)やジェイソン(プラト)と戦いながら、マシンをコース上に留めておくのは並大抵のことではなかった」と振り返った。
「でも終盤の雨にもめげずに、僕はレースの長い道のりをスリックで戦い抜いた最上位のドライバーだ。自分自身とチームを誇りに思うし、マニュファクチャラー登録で初めてスラクストンの表彰台を獲得した。自分が順位表のリーダーだなんて信じられない気分だよ」と、喜びと充実感を語ったヒル。
その選手権では3戦連続表彰台を確保したヒルが首位に立ち、1ポイント差で連勝のクックが続く展開に。その背後にはプラト、サットン、カミッシュ、イングラムと続き、今季もツーリングカーの名手たちによる激戦の予感が漂う。そんな2021年のBTCCシーズン、続く第2戦は6月12~13日にスネッタートンで開催される。