するとここでまさかのアクシデントに見舞われたのがSVGで、名門トリプルエイト・レースエンジニアリングは97号車ホールデンのジャッキングポイントにホースが届かず、大幅に作業時間をロスしてしまう。

 一方、首位で飛び込んできたハイムガートナーも、リリースの際に88号車ウインカップがファストレーンを通過するタイミングでマスタングを送り出してしまい、2台は軽く接触。この行為に対し、すぐさま5秒加算のタイムペナルティが課されることに。

 しかし、コース復帰後も力強いレースペースを維持したハイムガートナーは、24周のチェッカー時点で2番手モスタートに対し約9秒近いギャップを稼ぎ出してフィニッシュ。最終的に3.9793秒差で自身初優勝を飾るとともに、チームにニッサン時代の2018年以来、フォード陣営加入後の初優勝をもたらす結果となった。

「レースキャリアを終え金融業に携わろうとしていた2018年に、僕を拾ってくれたのは(現代表で当時レギュラー参戦引退を表明していた)トッド(・ケリー)だった。その恩義にようやく報いることができて本当に本当に幸せで、今はただホッとしている」と、チームへの感謝を語ったハイムガートナー。

「正直、この4日前にもすべてを終えレースから足を洗うことも考えていた。でもそうならなかったことを神に感謝したいと思う」

 しかし明けた日曜午前に始まったレース2は、そのレース1勝者が引き金となる多重インシデントが発生し、モスタートやウォーターズはダメージによりガレージでリタイアに。レース1でピット作業を引っ張り、5位入賞を果たしていたブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)のニック・パーカット(ホールデン・コモドアZB)も、ターン6の真ん中で逆向きにスタックする事態となる。

 これで先頭集団を形成したのがDJR軍団のマスタングで、3番手だったハイムガートナーは前日に続きピット作業に手間取りドロップ。そのチームメイトで今季移籍組のデビッド・レイノルズ(フォード・マスタング)も、多重アクシデントの余波でステアリング系統にダメージを負い、ペースが上がらず最終的にリタイアを選択することに。

 これで楽になったDJR陣営は、終盤のSVGによる圧力も封じてワン・ツー・フィニッシュを達成。パスカーレが移籍後初勝利を手にするとともに、DJRはフォードとの通算400勝目を達成した。

 そして日曜午後の週末最終ヒートは、喜びの余韻を残したままスタートを切ったポールシッターのパスカーレがまさかのエンジントラブルに見舞われると、首位を引き継いだ同陣営のウォーターズが力走。レース2をアクシデントで失ったティックフォードのエースは、ここまでもっとも勝利に近いマスタングと目されながら、勝ちきれなかった開幕序盤の流れを断ち切るかのようなレースを披露してみせる。

 中盤以降はともにレイトストップを選択したSVGとテール・トゥ・ノーズのバトルを演じ、0.6963秒差で抑え切ったウォーターズが、今季11ヒート目にして待望の勝利をもぎ取り、フォード陣営の週末“クリーンスイープ”を完成させた。

 続くRSC第5戦は、5月28~30日にビクトリア州のウィントン・モーターレースウェイで、引き続きのスーパースプリント戦が予定されている。

R2の多重クラッシュに巻き込まれたチャズ・モスタートは、リペアを経たR3で5位と奮闘
日曜午前の予選で最前列を得ていたDJRのアントン・デ・パスカーレ(フォード・マスタング)が移籍後初勝利をマークした
「ようやく有言実行できて安堵した」と、今季11レース目で初優勝を手繰り寄せたキャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング)

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