明けた日曜午前のタイムトライアルも、そのクプラ勢が席巻するものと予想されたが、プールAのアズコナ、プールBのエクストロームともに思わぬドラマに見舞われる。
まずポールポジション奪取に挑んだアズコナは、最大500kWのパワーにワンメイク供給のグッドイヤーが音を上げたか、アタック中のバーストによるスピンを喫すると、別組で最速を刻んだエクストロームは、前夜のパルクフェルメ作業違反によりタイム抹消となり、ともにスーパーファイナルで最後尾からの挽回を強いられることとなった。
レース直前にチームから「40秒間だけ使用可能な500kWのエクストラパワーの使い方について、有益なレクチャーを受けた」というアズコナは、オープニングラップでコースオフを喫したステファノ・コレッティ(アルファロメオ・ジュリアETCR)にも助けられると、続く周回でトム・チルトン(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)とのバトルに乗じ、僚友のジョルディ・ジェネ(セアト・クプラe-Racer)をパスすることに成功。
その後、ワイドになったチルトンはパンクを喫してスローダウンし、首位を行く同じヒュンダイのファーフスも左リヤのパンクでピットインを余儀なくされ、わずか7周の短期決戦で首位に返り咲いたアズコナがジェネとのワン・ツー・フィニッシュを達成。週末77点を稼ぎ出して初代“King of the Weekend”の称号を獲得した。
一方、アズコナ同様に最後尾発進となったプールBのエクストロームは、ジョン・フィリピ(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)とルカ・フィリピ(アルファロメオ・ジュリアETCR)を立て続けに仕留める見せ場を作ったものの、首位のヒュンダイにわずか0.781秒差で届かず2位フィニッシュ。勝者ベルネイが72点を獲得し、エクストロームはそれに次ぐ69点のランキング3番手でピュアETCR最初の週末を終えた。
「スーパーファイナルを最後尾からスタートするのは本当に大変だった。前の5台が速いことは間違いなかったからね」と語った“タグ・ホイヤー・モスト・バリュアブル・ドライバー・アワード”を獲得したアズコナ。
「日曜午前はリヤがパンクして本当に運がなかったけれど、このピュアETCRの最初の週末で僕らが歴史を作ることができて本当に光栄だ。クプラはレースウイークを通じて本当に速く、ここまでチームは素晴らしい仕事をしたと証明できた。チームメイトのペナルティは残念だったけど、最高のシーズンスタートが切れたね」
ここバレルンガで度重なる事前テストを実施してきた甲斐もあり、初開催の1戦を成功理に終えたピュアETCRの初年度シーズン。続く第2戦は、3週間後の7月9~11日にスペインのモーターランド・アラゴンで争われる。


