更新日: 2021.06.28 13:05
レース1表彰台独占のリンク&コーに逆襲。ホンダのアッティラ・タッシが待望の初優勝/WTCR第2戦
しかし後続でアクシデントが発生し、ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRC・ヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)と選手権首位のジャン-カール・ベルネイがヒュンダイ同士討ちを演じ、巻き込まれたホンダのジロラミを回収するため早々のセーフティカー(SC)が導入される。
SC明けのリスタート後も、鉄人がドライブする新型セダンとの攻防を繰り広げたエルラシェールだったが、中盤にもうひとつのドラマが発生。首位を狙っていたタルキーニの右フロントタイヤが限界を越えバーストし、この瞬間にエルラシェール、ミューラー、そしてウルティアの表彰台独占が決まった。
「低い最高速で防御に徹しながら、タイヤの管理にも最大限の注意を払った。彼(タルキーニ)がパンクしてくれたお陰で、その後はいくぶん楽になったよ」と、今季初勝利を飾ったエルラシェール。
続くレース2もスタート前から波乱続きの展開となり、車両リペアを実施した予選3番手のジロラミは、パルクフェルメ規定により隊列最後尾に回されることに。一方、ポールシッターの僚友グエリエリも「グリッド上でエンジンシステムの問題に気を取られていて、修正を試みている間にシグナル消灯を見落とした」ことで、オープニングラップから後続に飲み込まれ一気に14番手へと転落してしまう。
これで主導権を握ったのがALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツのふたりで、ミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ・サービスKFT)にトム・コロネル(アウディRS3 LMS/コムトゥユーDHLチーム・アウディ・スポーツ)らが絡んだアクシデントで再びのSC導入となるも、再開後もタッシを従えたモンテイロは快適なリードを構築する。
しかし、そのギャップが約2秒となったところで、地元の英雄に悪夢が襲う。モンテイロのシビックはホームストレート上で右側のエアロキャッチがルーズとなり、ボンネットが浮き上がった状態に。これによりスチュワードからオレンジディスク旗が掲示され、ピットでの修復を経て最終的には失意の18位に終わってしまう。
このトラブルで首位を引き継いだタッシも「最後の数周はラジオの問題があったから、本当に永遠に続くように感じた」との言葉どおり、背後に迫るベルネイ、ミケリス、タルキーニの新型ヒュンダイ軍団からの猛烈な攻撃にさらされる。
終盤まで防戦一方の展開を強いられ、片側2輪をグラベルに落としながらも耐え抜いたタッシは、からくも1.030秒差で16周のトップチェッカー。「110%の集中を余儀なくされた」激戦を制して、シリーズ初優勝を手にした。
「ようやく2年前のポルトガルでの“忘れ物”を取り返すことができた。この勝利を達成するのはそれほど簡単ではなかったし、普段から『一緒に表彰台へ上がろう』と語り合っていたティアゴが、ここに一緒にいないことを心から残念に思う」と語ったハンガリー出身のタッシ。
「終盤は(ラジオの問題で)ペースの情報がなく、ヒュンダイが追いついてきているのが見えたから、最終コーナー出口からメインストレート、それとバックストレートだけに集中した。最終的にその努力が報われたことをうれしく思うよ」
これで2位に入ったベルネイが失意のレース1を挽回する選手権首位をキープし、5点差の2位にミューラー、ウルティア、そして勝者タッシが並ぶ展開に。「アッティラ(・タッシ)には本当に満足しているし、今回は非常に残念で愚かな機械的故障だったが、誰かを責めても意味はない。プレイヤーで居続けることが重要だ」と語ったモンテイロが、さらに4点差の5番手に続いている。
続く2021年WTCRの第3戦は、7月10~11日に昨季タイトル決定の舞台ともなったスペインのモーターランド・アラゴンで争われる。