その予選トップ10リバースグリッドが採用されたレース1は、ポールシッターのタルキーニが2番手アズコナと3番手エルラシェールを抑え切り、順当にホールショットを奪う幕開けに。
するとここでもストレートラインの相対的戦闘力に苦しむエルラシェールは4番手コロネルから猛烈なプレッシャーを受け、2周目にはサイド・バイ・サイドの勝負で敢えなくポディウム圏内から陥落。続け様にベルトンにもオーバーテイクされ、混走バトルでの厳しさを感じさせる。
6周目には3番手コロネルが僚友のベルトンに2番手アズコナ追走を託すように先を譲るも、10周のチェッカーまでに地元のヒーロー攻略はかなわないと判断したコロネルは、最終周でふたたびチームメイトをパスして表彰台圏内に復帰。これで3位コロネル、2位アズコナに先んじて、タルキーニが2019年のハンガリー以来となる2年ぶりの世界戦優勝、今季初勝利を手にした。
「リバースポールを勝利に変えられたことには満足しているが、レースは外から見るほど簡単ではなかったよ」と、まずは安堵の言葉を口にした鉄人タルキーニ。
「アズコナは良い仕事をして最後までプッシュしていたが、我々のマシンは重量がありながらも競争力を維持していた。ヒュンダイ・モータースポーツの努力に改めて感謝したい」
引き続き気温が32度超を記録するなか、タイヤのマネジメントが鍵となったレース2は、前戦でもグリップ低下に苦しんだフロントロウ2番手のビョークを尻目に、ポールシッターのバービッシュがホールショットを奪うと徐々にリードを拡大していく。
その背後では、3番手マグナスがヘアピンでリンク&コー03 TCRを突く勢いを見せたが、オーバーテイクには至らず。さらに後方では4番手ミケリスが「右フロントから大きな振動が発生している」と無線で訴え後退し、代わって4番手に立ったベルネイのエラントラにも同様の振動が発生してしまう。
そのミケリスは8周目にベルトンにもかわされると、続く周に今度はコロネルのアウディがトラブルから無念のストップ。この車両回収で週末初のセーフティカーが導入される。
1ラップ後のリスタートもなんとか無事にこなしたバービッシュ以下、ビョーク、マグナスの上位勢は順位変動なく13周のフィニッシュラインを通過し、タイヤのトラブルを抱えたままのベルネイが薄氷の4位、アウディのベルトンが5位でチェッカー。ミケリスは残り2周の最終コーナーで懸案の右フロントが限界を迎え、残念ながらそこでレースを終える結果となった。
「今日は“メガ”スタートが切れて、その後のペースも良好だった。(背後の)テッドがタイヤを労っていると考えていたから、終盤に向けてすごく警戒していたんだ。でもセーフティカーを無事に乗り越え、チームに素晴らしい結果を持ち帰れてうれしいよ」と、第2世代アウディ初勝利を挙げたバービッシュ。
この4位により、選手権リーダーのベルネイが得点を82まで伸ばし、2位エルラシェールを8点上回る結果で首位固め。続く2021年WTCRの第4戦は、7月31~8月1日にイタリアのアドリア・レースウェイで争われる。


