これを機に「エースの護衛役」を買って出た2番手サンテロは、チームプレーに徹してロッシを先行させると、この気持ちに応えたシリーズ5冠のチャンピオンはすぐさまシボレーを仕留め、この動きに乗じて2番手を奪還したサンテロとともにカローラがワン・ツー体制を築き上げる。
そのままジリジリとギャップを拡大するTGRA編隊に対し、追い縋る余力が残されていない3番手カナピノの背後に、こちらも6番手発進だったシビックのアルドゥソが迫ってくる。
昨季まで所属したルノースポール・カストロール・チームでは2017-18年とシリーズ連覇も経験するチャンピオン同士の対決はホンダに軍配が上がり、ホームストレート後のバンク進入で新型シビックが3番手に躍り出る。
ここでふたたびエクストラ・パワーを活用したアルドゥソは、すぐにサンテロもパスして首位ロッシとの間合いを詰めると、ここからサイド・バイ・サイドの熾烈な優勝争いが続き、トヨタ・カローラとホンダ・シビックは何度もポジションを入れ替えながらの死闘を繰り広げる。
前のラップでオーバーテイクされたコーナーで相手の動きを見極めたアルドゥソは、続く周回の同じ場所でふたたびの逆襲に成功すると、そのまま首位を守り切って今季3度目のトップチェッカー。さらにファイナルラップでは「レース中盤には自らの意思で彼に先を譲ったが、チームには“オーダー”がないことを確認した」というサンテロがエースを再逆転し、2位でチェッカーフラッグをくぐっている。
「レース前半は上位勢がプッシュ・トゥ・パスを多用し、激しいポジション争いを展開するのを見てフロントタイヤのマネジメントに集中した。限られたエクストラパワーも温存していたんだ」と、その勝因を明かしたアルドゥソ。
「リードを奪ってからは、追い上げていた時のようなラップは刻めなかったけど、タイヤに余力があった分だけリスキーなオーバーテイクを実行できた。トヨタの2台とは本当に僅差のパフォーマンスだったけど、チームと練り上げた戦略がうまくいってくれたね」
この結果、予選レース時点でランキング首位に返り咲いたアルドゥソが94点まで伸ばし、2位に85点の王者ロッシ、3位に83点でサンテロが続くオーダーとなったSTC2000シリーズ。続く第7戦は8月14~15日の週末が予定されているものの、その開催地は現状未定となっている。


