この予選結果からも推測されるとおり、28台が1秒以内にひしめきあうことから超接近戦が予想される日曜の決勝。僚友マウリシオのドラフティングを利用してわずか0.105秒差のフロントロウ2番手につけたWEC世界耐久選手権レギュラーのセラや、現在ランキング2位につけるカサグランデらシボレー勢が、最高速勝負の“トウ合戦”を仕掛けてくると考えられ「ポールからグリッド中段を占めるすべてのドライバーに勝利の可能性がある」との予測がなされた。
明けた日曜、30分+1ラップで争われた最初のレース1は、スタート直後に隊列後方でゾンタやフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)らが絡む多重クラッシュが発生し、いきなりのセーフティカー(SC)出動となったものの「オーバーテイク祭り」の予想を覆したポールシッターの鈴木が、リスタートでも首位を堅持する。
そのまま義務ピットもこなして首位をキープした鈴木は、ラスト1ラップを目前に再びのSC導入で2番手セラとのギャップが失われたが、最終1ラップ・スプリントも無難にこなしてトップチェッカー。セラ、カサグランデ、ギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)を従えてのキャリア2勝目を飾った……かに見えた。
しかし2ヒート終了後の再車検で「燃料成分の規約違反」が発覚し、ラファエル鈴木に対し週末からの除外処分が決定。歓喜に沸いた勝利も剥奪される失意の結果となってしまった。
前戦結果のトップ10リバースグリッドでスタートが切られたレース2は、リバースポールのアッティラ・アブレウとフロントロウ2番手のカカ・ブエノ(クラウン・レーシング/シボレー・クルーズ)に対し、後方6番手スタートのフェリペ・ラピーニャ(ホット・カー/シボレー・クルーズ)が一閃。
コース幅いっぱいに広がったターン1の攻防で2番手に上がると、バックストレートでシェルVパワーのシボレーを捉え、オープニングラップで首位浮上に成功する。
象徴的なチームリーダーとして君臨したアマデウ・ロドリゲス代表を亡くしたばかりのチームで、その“弔いレース”とばかりに奮闘したラピーニャは、義務ピット後もポジションを維持してほぼレース全域を支配していく。しかし残り30秒を切ったところで無惨なドラマが展開し、首位のシボレーが突如のスローダウン。マシンを左右に振るも、惰性で力なく進んだラピーニャはそのままピットロードへ。
この劇的な展開で2番手アブレウが望外の今季2勝目を挙げ、カサグランデ、デニス・ナバーロ(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)の続くポディウムに。
一方、序盤はカサグランデとのバトルを演じて一時3番手を快走した“父ルーベンス”は、後半スティント残り10分ほどでサラスのシボレーと接触しコースオフ。この際のダメージが祟ったか、高速バックストレートでもバランスを崩して高速スピンを喫し、そのままリタイアとなってしまった。
このヒートで5位入賞を果たした選手権首位セラがポイントリードを拡大し、2位のカサグランデに対し11点差とした2021年のSCB“プロ・シリーズ”は、9月18~19日に第8戦、第9戦となるゴイアニアでのダブル・ラウンドが予定されている。



