「FP1、FP2でセットアップを改善した効果で、今日のチームは僕に強力なマシンを用意してくれた。BMWがつねに得意なここノックヒルで、WSRに記念すべき100勝目をプレゼントできて最高の気分だ」と久々の勝利を喜ぶターキントン。
続くレース2もポールから発進したWSR不動のエースは、スマイリーのヒュンダイが5番グリッドでストールし、後続でマルチクラッシュが発生する混乱の状況に巻き込まれることもなく、SC解除後はホンダのクックとインフィニティのサットンを従えてレースを支配していく。
するとリスタート直後のヘアピンでホンダのインサイドに飛び込み、2番手浮上を果たした現役チャンピオンがBMWのテールを猛追。17周目にはヘアピンアウト側から仕掛けるなど、新たな重りを積んだBMWに対して明らかにレースペースで優位に立つ。
すると6番手争いを展開していた僚友モファットとTOYOTA GAZOO Racing UKの新エース、ロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラGR SPORT)のクラッシュにより再びのSC導入になると、3番手以下は周回遅れの車両にフタをされたこともあり、再開後はトップ2による終盤スプリント勝負となる。
ヘアピンで幾度もディフェンスラインを取らされた首位ターキントンは、最終ラップのシケインでわずかにミスを犯し、その隙を見逃さなかったチャンピオンが前へ。27周目の劇的な逆転で首位浮上となったサットンが、ターキントンとヒルのフォードを抑え切り、選手権リードを拡大する勝利を手にした。
「彼のBMWは少し縁石から外れて不安定になった。その機会を最大限に活用したんだ。コリンのような男とレースをするのが大好きだし、お互いに敬意を払い、スペースを残しながらも“圧”を掛け続けた。彼はフルウエイトでも速かったし、2位に甘んじていたら本当に退屈だったろうね!」と逆転で今季3勝目を飾ったサットン。
しかし週末最終のレース3はリバースグリッド抽選を経て、ランキング2位につける“宿敵”イングラムがポイントリーダーと歩調を合わせるかのように躍進。スタートで3番手にジャンプアップしたヒュンダイは、故障車により再び出動のSCで2番手ジェイソン・プラト(ヴォクスホール・アストラBTCC/エイドリアン・フラックス・ウィズ・パワーマックスド・レーシング)に照準を合わせると、再開後の10周目にミスを引き出しオーバーテイク完了。
そのまま首位ステファン・ジェリー(BMW330i M-Sport/WSR)に迫ると、17周目のヘアピンでフロントを擦り付けるようにインをこじ開け勝負アリ。「前をいくBMWより最終ヘアピンのブレーキングがよかったみたいだ。それで前のラップから罠を仕掛けたんだ」というイングラムが今季3勝目を挙げ、そのヒュンダイを追っていたプロクターのシビックもBMW攻略に成功。失意のジェリーがなんとか3位表彰台を死守するリザルトとなった。
この週末によりポイントを172まで伸ばした王者サットンがランキング首位を守ることに成功。2位のイングラムが14点差で追い掛け、3位にはターキントンが浮上した。いよいよ終盤戦に向かうBTCC第6戦は、8月28~29日の週末にイギリス屈指の高速トラック、スラクストンで争われる。



