──同じクルマのふたりのドライバー(ジャック・クロフォード、ロマン・スタネ)とは、ライバルという感じですか。あるいはより速く走るための共同作業の仲間という感じ?
岩佐:ふたりとはクルマについてじっくり話す時間もあまりないですし、さっきも言ったようにスタイルや方向性、セッティングの好みも違いすぎる。ですので「そうだよね」と共感する部分は、あまりないです。話を聞いていても、そんなふうに感じてるんだと、驚く方が多いです。あとは他のドライバーの分析とか、評価ですね。こういう走りだよねとか、こういう動きをするよね、みたいな。
──エンジニアとのコミュニケーションは、F4時代と比べて濃密にできていますか?
岩佐:ええ。フランスF4はスクール形式ですし、エンジニアも何人かのドライバーを掛け持ちで担当している。なのでじっくり話す時間もなかったです。セットアップ自体も、ほとんど変えられないですし。それがF3では、疑問に思ったり自分で閃いたりすることがすごく多くて、それをエンジニアに伝えたり、ドライビングについてアドバイスを求めたり、コミュニケーションははるかに増えていますね。

──メンタル的な部分も今後一層重要になると思いますが、メンタルトレーニングを意識してやったりしていますか?
岩佐:特に意識してはやっていません。それよりもたとえばシミュレーターで、今までダメだったアプローチをエンジニアの助けを借りて修正したり、それはずいぶんやっていますね。
──自分は性格的に、図太い方だと思いますか?
岩佐:いやあ(笑)そんなことはないと思っています。でも今年はメンタルで予選やレースを失敗したり、ミスしたりはないですね。逆にいうと、まだそこまで行けていないと思ったりもしてますけど。とにかく今は、自分のドライビングを含めてもっと精度を上げて、速さと強さを身につけたいです。
──不本意な結果に終わったとき、自分のなかでどう納得させていますか。
岩佐:今年に関しては2回、ポールリカールとレッドブルリンクで、自分のミスとそれ以外の理由で残念な結果に終わっていますが、後者はオンボードカメラ(の問題)で失格になりました。それはチームのミスでもないのですが、エンジニアやメカニックがすごく落ち込んでいました。でもあのレースは僕自身予選までかなりミスもあって下位に沈んでいたのを、追い上げて上位に進んだ展開でした。失格自体は残念でしたし、あれがなかったらレース2は上位グリッドからの好結果が期待できました。だけど、落ち込んでいてもしょうがない、このままだとレース2、3でもっと悪い方向になると、切り替えることができましたね。
レース2は最下位30番手からのスタートでしたけど、レース1以上の追い上げを見せるぞ、みたいな感じで、自分のなかで切り替えられました。あのレースを振り返ると、自分のメンタルは決して悪くないのかなと実感できましたね。

