ホームストレートを通過し、ふたたびドアパネルを擦り合うようにしてブレーキングゾーンに入っていった2台は、アズコナがインサイドを奪う素振りを見せる。これにディフェンスラインで応じたジロラミだったが、続くターン4のインサイドをコンパクトに回ったアズコナがついにオーバーテイクを完了して勝負アリ。
ファイナルラップの逆転劇でリードを奪ったアズコナが、2位ジロラミに対し1.4秒差で3戦連続のトップチェッカーを受けた。
「本当に、本当に幸せな結末だ。選手権リードを拡大できたのは最高のニュースだし、僕にとっては心底、厳しいレース展開だった」と、まずは勝利の喜びを語ったアズコナ。「何よりも、ジロラミにコングラッチュレーションと言いたい。彼はとても素晴らしいドライビングを続けていたから、僕は早い段階から彼を分析し、僕より少し苦労しているコーナーがないかを観察していたんだ」と続けたアズコナ。
「終盤に3回ほどオーバーテイクを試みたが、その都度、彼は素晴らしいディフェンスラインで応戦してきた。でも最後はタイヤの消耗に苦しんでいたみたいだから、その機会を利用してフルアタックを掛けたよ」
そんな好バトルの余韻が残るなか、明けた日曜午後13時を前に始まったレース2は前日をリピートするかのような展開に。この日はリバースグリッド6番手から出たアズコナは、スタート早々にポールシッターであるヤングの背後2番手にまで進出すると、3周目のシケインでホンダ・シビックを仕留めて11周のひとり旅へ。
背後にはヤングをかわしたジロラミが浮上し、ふたたび選手権リーダーを追走したものの時すでに遅し。3.618秒のマージンを築いたアズコナが4戦連続で勝利のフィニッシュラインを駆け抜けた。
「今季、2回の“ダブル”を含む5勝を記録することができるなんて、想像もできなかったし、今でも信じられない気分だ」と、2018年の初戴冠時はわずか1勝に留まっていたアズコナ。
「昨日に続いてふたたびスタートが重要な鍵となったが、僕自身は本当に良いローンチができた。(2番手にいた)ダビドフスキーが遅れたので、その機会を活用してアウト側から2~3台を仕留めて(首位)ヤングの背後につけることができた」
「後ろにもホンダがいたから、無線で『あれはダビドフスキー?』と聞いたら『いや、ジロラミだ。プッシュ、プッシュ!!』と返事があった。ヤングは僕をそれほど厳しくブロックしなかったから、パスした後はマージンを管理するだけになったよ」
ふたたびの勝利により、直接対決を繰り広げたランキング2位のジロラミに対し37点差までギャップを拡大することに成功したアズコナ。続くTCRヨーロッパ第6戦は9月24~26日のイタリア、モンツァでの超高速バトルが予定されている。


