そんな前日から一転、早朝から雨模様となった日曜の予選は、20分間のセッションを通じて競争力あるタイムを記録していなかったキスが、最後の最後で暫定ポールタイムを叩き出す“横綱相撲”で、この日も悠々スーパーポールへ。
ここでも2分08秒318としたキスが2日連続のトップタイムとし、アルバセテ、ラッコ、ハーンの続くグリッド順に。ハルムに続いてシリーズ2人目の女性ドライバーとして修行を積むアリーヤ・コロックのフレイトライナーも、自身初のスーパーポール進出で8番グリッドからレース3に挑むこととなった。
しかし現地日曜午後13時15分開始予定だったヒートは、午前から断続的に降り続いた雨に加え、国内選手権のトラックがサーキットのセクター3にオイルを撒いたことから、約2時間のディレイを経てようやくのスタートに。
当該セクションはイエロー区間とすることを全ドライバーが了承し、安全面の理由からこれで4戦連続、3周のセーフティトラック先導でレースが始まると、キスは背後の地元ドライバーに脅かされることなく4秒のマージンを築いて今季10勝目に到達。2位のアルバセテに続き、最後の表彰台に向け死闘を繰り広げたラッコvsハーンの“チャンピオンバトル”はフレイトライナーに軍杯が挙がり、レンツが5位でフィニッシュラインを通過するリザルトとなった。
すると、このレース3で6位だったハルム、7位だったクルシムに続き、8位でチェッカーを受けたテオ・カルヴェ(バギラ・レーシング/フレイトライナー)が、続くレース4のリバースポールから発進すると、レコードラインを中心に乾いたコースコンディションも味方し、グッドイヤーカップ登録ながら自身初の総合優勝を達成。背後にはターン1の攻防でクルシムの機先を制したハルムが続き、土曜に続く連続2位ポディウムを手にした。
このスペインでの週末結果により、ふたたび2勝を挙げた選手権リーダーのキスが228点までポイントを伸ばし、2位レンツの182点に対し3位ラッコが179点と肉薄する展開に。2021年のETRCも残すは1戦、1週間のインターバルを経た10月16~17日に、イタリアが誇るシリーズおなじみのトラック、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで今季のタイトルが決することとなる。


