日曜のレース2予選では、2戦連続でローソンがポールポジションを獲得し、タイトル奪取へ一直線。しかし2番手にはまたしてもケルビンが並び、3番手にはキャシディがつけた。以下、アウアー、エリス、ジュンカデラ、マイニ、ゲーツというトップ8となった。
2周のフォーメーションラップのあと、この日もローソンが好スタートを決める。そして1コーナーではケルビンが前日以上の飛び込みを見せた。
縁石の内側からローソンのインを突いたケルビンだったが、止まりきれずに両者は接触。さらにローソンはアウト側にいたキャシディとも接触し、フェラーリの2台はアウト側の縁石外側に、コンクリートウォールを向いて止まってしまう。リバースギヤに入れ、キャシディから順にリスタートをする必要があり、ここでローソンは最後尾へ転落。その後、2度ピットイン/アウトを繰り返し、レーシングスピードを失いながらも周回を重ねていった。
1コーナーでの混乱により、トップに立ったのは4番手スタートのアウアーだった。2番手にはケルビンをパスしたエリスがつけ、ケルビンの背後にはタイトルを争うゲーツが浮上してきていた。

ここで、1コーナーでの件でケルビンには5秒加算のペナルティが発出される。ワン・ツーがいずれもメルセデスとなったため、ケルビンは背後のゲーツをどうしても押さえ込む必要に迫られていた。
こう着状態となった3番手争いを動かすべく、先に動いたのは背後のゲーツ。タイヤ交換を終え、ちょうどケルビンの鼻先でコースに戻ったゲーツだったが、すぐにかわされラップダウンとなってしまう。1周の差はあれど、ピット前と変わらぬ見た目の位置関係で、タイトル争いは続いた。
アウアーとエリスもピットへ向かうと、ケルビンが見た目上の首位に浮上する。残り13分、背後のゲーツを少し引き離したケルビンは、ようやくピットへ。5秒のペナルティを消化したあとにタイヤ交換を行い、なんとかゲーツの前でピットアウト。そのまま2台のバトルは約2周にわたって続いた。
しかし、最終コーナー立ち上がりでケルビンの左リヤとゲーツの右フロントが接触。この影響かケルビンの左リヤタイヤが破損し、シケインでスピンを喫してしまう。ケルビンはピットへと向かい、ポイント圏外へ転落した。
これでケルビン、ローソンともにノーポイントとなることがほぼ確定。優勝すればタイトル獲得という状況のゲーツの目前には、2台のメルセデスがいるのみとなった。最後までピットストップを引っ張っていたキャシディも、ゲーツの前でのコース復帰はかなわず、ローソンを援護することはできなかった。
残り3分、エリスにポジションを譲られたゲーツは2番手に。さらに首位を独走していたアウアーも明らかにペースを緩め、ゲーツを先行させる。キャシディは前をゆくメルセデス勢をなんとか抜こうと奮闘するが、激しいポジション争いのなかで接触を喫してしまった。
これで楽になったゲーツが花火の上がるなかトップチェッカー。大逆転で2021年シーズンのドライバーズタイトルを決めた。レース2の2位にはアウアーが入り、マキシミリアン・ブーク(メルセデスAMG・チーム・ミュッケ・モータースポーツ/メルセデスAMG GT3)が3位で今季初表彰台を獲得。4位には今季限りでアウディを離れることを表明しているマイク・ロッケンフェラー(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)、以下ジュンカデラ、マイニと続いた。
ランキングではゲーツが230ポイントで王者となり、ローソンは227ポイントと惜敗する結果となった。レース後、ローソンは涙を見せながらシリーズ表彰に臨んだ。

「全力を尽くし、常にプッシュしていた」とゲーツ。
「どんなことであれ、チャンスは利用するつもりだったけど、最終的にはうまくいった。予選は僕らの弱点だけど、またしてもピットストップは僕らの強みとなった」
ゲーツとは対照的に、ローソンは失望と怒りにあふれていた。
「もちろん、とても残念だし、ひどく打ちのめされている。僕らのチームは、タイトルに値する働きをした。同じドライバーに、またしてもコース外に追いやられた。しかもレースの1周目のターン1でのことだ。なんと言えばいいんだ」
なお、チームタイトルはローソン、アルボン、キャシディがドライブしたレッドブル・アルファタウリAFコルセが獲得。マニュファクチャラーズタイトルはメルセデスAMGのものとなった。

