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 このスタート時のアクシデントでミケリスを筆頭にフリン、ナサニエル・ベルトン(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)らが戦列を離れ、セーフティカー明けのリスタート後はホンダ艦隊に対し選手権首位の王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)以下シアン軍団が迫ったものの、ポジション変動には至らず。ジロラミが今季9人目の勝者となり、コロネルに対する予選妨害からグリッド降格ペナルティを科されていたグエリエリが、混乱に乗じて9番手から2位を射止める躍進を果たした。

「ターン1は路面が汚れていたし、スタート前から『誰でも簡単にイン側から刺しに来れる』と本当に警戒していた。車体後方からヒットされたけど、リカバーの秘訣はその前からシフトダウンを終えていたことだった。アクセル全開でターン2で姿勢を取り戻すことに成功したよ」と勝者ジロラミ。

 続いてミケリスを先頭に17時10分に始まったレース2は、またしてもオープニングラップで事故が発生する波乱の幕開けとなり、ターン1ではガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)や第4戦の勝者サンティアゴ・ウルティア(リンク&コー03 TCR/シアン・パフォーマンス・リンク&コー)らが絡んでコースオフ。これでセーフティカーが導入される。

 その直前、リヤタイヤが「思ったより冷えていた」というアズコナを仕留め、首位に浮上していたミケリスがリスタートでもポジションを守ると、スペイン帰りの新たなヨーロッパ王者とテール・トゥ・ノーズの神経戦を繰り広げる。

 終盤に向けなんとか優位を守り抜いたミケリスが「ミケル(・アズコナ)がミラーに写り続けるのは本当に快適でない。キャリアを通じて最もタフなレースのひとつだった」と語りつつ、15周を走破して2019年マレーシア戦以来のトップチェッカー。2位アズコナを挟み、約10秒後方の3位には再びのグエリエリが続き、連続表彰台を獲得する結果となった。

 このリザルトにより、ランク首位のエルラシェールに対し25点差の3位に躍進したアズコナは、長旅の疲れも感じさせずに“ダブルタイトル”への意欲を語っている。

「バルセロナとの日帰り旅行で本当に大変な週末だったけど、結局は完璧な結果になった。レース2のスタートでは、リヤタイヤの状態が良くなくて最初の右コーナーでルーズになりポジションを失ったが、クルマはとても快適だったので限界を超えてプッシュすることに決めたんだ」とアズコナ。

「彼(ミケリス)は本当に速かったし、レースを心の底から本当に楽しんだよ。今週末に実現したことをとても誇りに思っている。次のフランス・ポーでもレースに集中し続けたいし、そこでもチャンスはあると思う。もちろん、タイトルのために戦い続けるつもりさ」

 そのコメントどおり、続く週末10月15~17日の連続開催となるWTCR第6戦は、電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』との併催を予定するポー-アルノーでの1戦となり、この週末でもアズコナは両カテゴリーとの“乗り分け”を予定。シリーズタイトル『3冠』の可能性に向け勝負を続けることになる。

そのジロラミもレース2ではテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)に撃墜され順位ダウン。ビョークにはタイム加算ペナルティが課された
そのジロラミもレース2ではテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)に撃墜され順位ダウン。ビョークにはタイム加算ペナルティが課された
レース2のスタートでポールシッターを出し抜いたノルベルト・ミケリス(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRC Hyundai N Lukoil Squadra Corse)が今季10人目のウイナーに
レース2のスタートでポールシッターを出し抜いたノルベルト・ミケリス(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRC Hyundai N Lukoil Squadra Corse)が今季10人目のウイナーに
レース2で2位を得たアズコナは、ランキングでも3位までジャンプアップ。ひとつ上位のグエリエリまで5点差と肉薄した
レース2で2位を得たアズコナは、ランキングでも3位までジャンプアップ。ひとつ上位のグエリエリまで5点差と肉薄した

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