終盤、前を行く2台のシビックを猛追したYPFクルーズは、まず教科書どおりのオーバーテイクで3番手シャナントゥオーニを仕留め表彰台圏内へ。そして勢いそのままにファイナルラップではターン1のブレーキング勝負で“チャンピオン・バトル”を制したカナピノが2番手に浮上してフィニッシュ。
新鋭モスカルディーニがSTC2000でのキャリア初優勝を飾ると同時に、2位のリザルトを得たカナピノがこの時点で選手権首位ペーニャの161点に並ぶ状況となった。
明けた日曜8時55分からのフルタンクテストでは、TGRの“スピードスター”ことジュリアン・サンテロとディフェンディングチャンピオンでシリーズ5冠を誇るマティアス・ロッシのトヨタ・カローラSTC2000が1-2とし、トヨタ勢がレースペースに手応えを得て迎えた11時50分からのフィーチャーレース。
前日勝者のモスカルディーニと、破竹の勢いで選手権首位まで浮上したカナピノのフロントロウでスタートが切られると、背後では「対シボレー」を強烈に意識したペーニャのルノーが、アルドゥソを早々に仕留めて表彰台圏内に進出してくる。
この重圧を感じたか、続く2周目にカナピノがブレーキングミスを犯し、ペーニャ、アルドゥソにポジションを奪われる事態が発生すると、ここからブルーのシボレーは目が覚めたかのような奮起を見せる。
プッシュ・トゥ・パスを使ってすぐさまアルドゥソのホンダをパスしたカナピノは、先頭のモスカルディーニもオーバーテイクして逃げる首位カナピノを猛追。自身も土曜勝者を軽々かわすと、ルノーとの一騎討ちに持ち込んでいく。
トラックの最終セクションでイン・アウトを入れ替えながらバトルを繰り広げた2台は、ホームストレートで並ぶと再びプッシュ・トゥ・パスを利用したカナピノが、ついに主導権を奪うことに成功する。
ここからずるずると後退したペーニャに代わり、終盤までサンテロの攻撃に耐えながら2番手を引き継いだアルドゥソだったが、元王者のホンダ・シビックもファイナルラップを目前に左フロントタイヤが無情のバースト。これでサンテロ、ロッシのファクトリー・トヨタ勢がポジションを上げ、2台揃ってのポディウム・フィニッシュに。カナピノは第9戦に続き連勝を挙げて今季4勝目、キャリア通算26勝目を手にし、トヨタ2台を挟んで4位ペーニャ、5位シャナントゥオーニのトップ5となった。
これでランキングもカナピノが181点で首位浮上に成功し、2位陥落のペーニャが171点、以下129点のサンテロ、121点のロッシ、そして115点のアルドゥソが追う展開に。続くSTC2000第11戦は11月6~7日の週末にコルドバのオスカー・カバレンで最後から2番目のレースを開催し、同月末にはブエノスアイレスでの最終決戦が控えている。



