明けた日曜スーパーファイナルAで挽回を狙ったアズコナだったが、7ラップの短期決戦では首位にチャレンジする状況まで持っていくことは叶わず。ヒュンダイのファルファスがトップチェッカーを受け、2位ルカ・フィリピ(アルファロメオ・ジュリアETCR/ロメオ・フェラーリ-M1RA)に続き、アズコナは3位でフィニッシュラインへ。
これでベルネイとの直接対決の舞台が整ったスーパーファイナルB“ポールシッター”のエクストロームは、ドライバーズタイトルを確保するためには「トップ5でフィニッシュすればOK」という俄然有利な状況でスタートを迎えた。
しかしフロントロウに並んだエングのアルファとサイド・バイ・サイドで超高速ダウンヒルのターン1に向かったエクストロームは、アルファのフロントに接触してトラックを横切り、幾度もスピンを喫するするまさかのアクシデントに見舞われてしまう。
なんとかコントロールを尽くしてマシンの姿勢を立て直し、どこにもヒットすることなく奇跡的にトラック復帰を果たしたエクストロームだったが、彼のe-Racerはパンクとフロアの損傷に苦しみ、修復のためピットに戻ることを余儀なくされ、タイトル獲得へのタスク達成は不可能に思われた。
左リヤを交換してラップダウンの最下位6番手でコース復帰を果たしたエクストロームだが、ここで接触の相手だったエングのアルファロメオもリタイアを選択したことから、フィニッシュさえすれば自動的に5位以上とタイトル獲得条件が転がり込む展開となり、エクストロームはたった4ポイント差で見事、電動ツーリングカーの初代タイトルを手にすることとなった。
「勝負の前から5位でタイトル獲得が可能だと分かっていたが、5位でフィニッシュする理由が見当たらないから、できる限りレースをするつもりだった」と明かした初代キング・オブ・ザ・シーズンのエクストローム。
「最初のコーナーで競り合ったエングは、その素晴らしい才能を披露してターンインまでに僕を『抜けない』と判断し、わずかに引いてくれていたが、バックオフが充分でなく右後輪にノーズが軽くヒットした。フィリップがそうするとは思っていなかったし、彼には理由があると確信している」と“まさか”の窮地を説明したエクストローム。
「その後もチームは非常に良い情報を与えてくれ、自分がどのペースで走らなければならないか把握できた。ハンドルが真っ直ぐでなく、右前のタイヤがリムから外れていたせいで大きな振動があって本当にドキドキした(笑)。でも自分が開発に携わったクルマで成し遂げた成果に心から満足しているよ」
その前方ではベルネイが僚友のトム・チルトンを従えて勝利し、ヒュンダイはプールAのファルファスと合わせて初の1-2と両プール勝利の週末完全制覇を達成。ランキングでも2位にベルネイ、3位アズコナの最終結果となった。
これで初年度の全日程を終えた電動ツーリングカー選手権ピュアETCRは、来季2022年から『FIA eTouring Car World Cup(eツーリングカー・ワールドカップ)』へと進化し、2年目のシーズンを迎える。


