その言葉どおり、日曜のオープニングレースではクックが早々にポールシッターの前に出ると、その後は比較的静かな展開でフィニッシュ。途中、セーフティカー(SC)が導入されギャップが消失する場面はあったものの、3番手にシェドンを従えホンダ勢が表彰台を独占する結果となり、クックはわずかに残っていた数字上のタイトル挑戦への望みは絶たれたものの、今季4勝目をマークした。
その後方では、2周目に4番手へと浮上していたダン・ロイド(ヴォクスホール・アストラBTCC/エイドリアン・フラックス・ウィズ・パワーマックスド・レーシング)と、ホンダのロウボトムを挟み、選手権首位のサットンが6位でフィニッシュ。宿敵ターキントンを7位に抑え、ここでさらにチャンピオンへ近づく形となった。
その逆境を跳ね返したいWSR不動のエースは、続くレース2のオープニングラップで、前方のマシンにドアを閉ざされ失速したサットンの動きを見逃さず、“パドックヒル・ベンド”で前に出ることに成功。その後も前方集団の追走体制に入っていく。
ふたたび終盤のSCで仕切り直しが入ったものの、ターキントンは連勝のクック、ロイド、シェドンのFF勢を捉えることはできず4位でフィニッシュ。ロウボトムを挟みふたたび6位となったサットンがわずか6シーズンで自身3度目、この時点での2021年ドライバーズチャンピオン獲得を決めた。
「つねに重圧を抱えながらレースの週末に臨む日々が続いてきたし、フィニッシュラインを越えても越えても勝負は終わらず、その苦しさの中でドライブを続けてきた」と、その計り知れないプレッシャーとの戦いを明かしたサットン。
「このタイトル獲得は過去の2回とはおそらく逆で、ウエットではなくドライ勝負で成し遂げた。さらに僕らはハンターでなく、いつも狙われる側の獲物だった。それでもインフィニティは驚異的な完成度で、僕はいつも望むとおりのドライビングができたんだ」
「不調だったオールトンパークを除けば素晴らしいシーズンで、第2戦からずっと選手権を牽引してきた。これは年間を通じて最大のサクセスバラストを積んで戦ったことを意味するけど、それを克服する素晴らしい仕事を成し遂げたんだ!」
その新チャンピオンは2021年最終レースをリバースグリッド4番手からスタートすると、3周目の“クリアウェイズ”出口で首位浮上に成功。そのままロウボトム、イングラムを従え自身の戴冠を祝福する勝利を飾り、今季5勝目とBTCC通算50回目の表彰台でシーズンを終えている。
「今季初めて、最終レースのためにリラックスして自分自身に帰ることができた。そこで早めにトップへ浮上して優勝できるなんて、思い描いた以上のエンディングになったよ」と喜びを語った27歳のサットン。
この結果、ランキング2位には「チームとして懸命に頑張ってきたが、毎年勝つのは難しい。来季こそは5回目の王座を狙いに行くよ」と語るターキントンが続き、3位クック、4位イングラム、5位ヒルのトップ5となっている。



