今回、フルタイムのチャンピオンシップドライバーとしては、その活動から退く決断をしたタルキーニだが、今後も何らかの形で”ステアリングを握る”可能性については、含みを持たせる言葉を残した。
「モータースポーツに関して、何らかベストな形で貢献できる方法はないかと考えている。それはまるで麻薬のようなもので、私自身も完全にドライブを止めたくはないし、これまでの100からいきなり0(ゼロ)へ完全に移行するのは不可能なことだからね」と続けるタルキーニ。
「多分、私は今後もいくつかのレースと、テストの業務を担うことになるだろう。でも、再び完全なチャンピオンシップに戻ることはない。私自身、まだドライバーとして競争力を備えていると感じるし、ヘルメットの中ではつねに笑みを浮かべてる。レースで感じるアドレナリンが恋しいことはわかっているが、すべてのストーリーには始まりと終わりがあるからね」
「何も後悔はないし、キャリア晩年でも充実してやりがいのある仕事ができた。2009年と2018年、ふたつの世界タイトルは同世代がすべて引退した後に獲得したものだ。今でもレースに勝つことが出来、野心もなくリラックスしていて、ここ数年は本当に楽しかった」
「改めて考えても、私の物語は本当に”アンビリーバブル”だった。ここイタリアでのホームレースを前に、そのストーリーが終わりに近づいていることを発表するのは、とてもふさわしい瞬間だと感じているんだ」
2013年のWTCC参戦当時は、JAS MotorsportでシビックWTCCのチーフデザイナーとして働き、その後はヒュンダイ移籍と同時にタルキーニの手腕を頼って新型マシンの開発を託した現ヒュンダイ・モータースポーツ代表のアンドレア・アダモは、その引退に際し「彼が我々にどれほどの影響を与えたか、言葉で表現することは不可能だ」と最大級の賛辞と感謝の言葉を贈った。
「ヒュンダイi30 N TCRプロジェクトの2日目から、彼は開発作業の主軸として獅子奮迅の働きで貢献してくれた。そしてTCRでのヒュンダイ初優勝から2018年のワールドタイトル獲得……個人として彼への友情と熱意、仕事を分けて考えるのは難しい」と続けるアダモ代表。
「サーキットで彼に会わないのは不思議だろうね。私は1994年、まだ24歳のときにガブリエレと仕事を始めたんだ。私の時間と人生、そのほとんどを共有してきた数少ない人物のひとりだ。今後、我々の関係がどのように機能するかについて話し合っているが、今日は彼の素晴らしいキャリアを祝い、コクピット外で彼の次の冒険がどう展開するのかを楽しみにしたいと思う」


