更新日: 2021.11.10 12:53
7冠ウインカップが通算124勝目。SVGは年間13勝目、パスカーレも6戦3勝を記録/RSC第9戦シドニー2
これで今季8度目の最前列からレース2のスタートを切ったシェルVパワー・マスタングのパスカーレは、予選時のわずかなシャワーから路面が回復し、完全ドライとなったことでハードコンパウンドのスリックタイヤを選択したSVGに対し、ソフト側を履いたことで優位に立ち、2位SVGと自身ひさびさの表彰台となったジェームス・コートニー(フォード・マスタング/ティックフォード・レーシング)を抑え、シーズン4勝目を挙げている。
そしてついに雷雲がサーキットに到達したナイトセッションの最終ヒートは、事前の予測どおり大荒れの展開に。その最初のドラマはまずフロントロウ2番手に並んでいたチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB/ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド)に襲い掛かり、予選後の再車検で25号車のフロントバーが「規定よりワイドだった」と判断され最後尾グリッド降格となってしまう。
すると濃い水煙が立ち昇るなかスタートが切られたレースは、8番グリッド発進だったブライス・フルウッド(ホールデン・コモドアZB/ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド)がエースの仇とばかりロケットスタートでターン1に首位で突入すると、続くターン2で前ヒート表彰台のコートニーとブロディ・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/エレバス・モータースポーツ)が接触してバリアにスタック。いきなりセーフティカー(SC)の出番となる。
車両回収後、7周もの長い先導走行を経てもトラック上の雨量は変わらず。今度はリスタートでSVGが窮地に陥り、コースオフしたレッドブル・アンポル・レーシングの97号車はターン1アウト側の濡れたグラベルをハイスピードで滑走する。
しかしWorldRX世界ラリークロス選手権ドライバーからも一目置かれるグラベルでのマシンコントロールでことなきを得たSVGだったが、これで中段までポジションを下げてしまい、さらにルーティン作業時にはクルーを引き連れたアンセーフリリースにより勝負権を失うことに。
この時点で先頭のフルウッドにもジャンプスタートの裁定が下ったことで、代わって首位を手にしたのがウインカップ。2番手にいたパスカーレらも続々とピット作業に向かうなか、終盤まで引っ張った“セブン・タイムス・チャンピオン”をレース展開も味方し、21周目にはパワーステアリングに問題を抱えていたジェイク・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/マットストーン・レーシング)がバリアに刺さり、この日2度目のSCが発動する。
このSCピリオドが運命の分かれ目となり、ここでピットを済ませ首位で復帰したウインカップを先頭に、3周の先導走行を経たところで、レースコントロールは「悪天候によるトラック状況の安全性の問題」により赤旗中断を宣言。各車10分間のピット待機後にレース成立となり、ウインカップが4月以来のキャリア通算124勝目を飾ることに。
2位パスカーレの背後には、26番手の最後尾からアーリーピットを選択し、全車のアンダーカットを狙ったモスタートが「正直、どうやって戻ってこられたのかわからない」と笑いながら、混乱のレース展開にも助けられグリッド降格騒動を跳ね返す3位表彰台へのカムバックを果たした。
このレースで23位に終わった僚友SVGとのポイント差をわずかに詰めることに成功したウインカップも「スタートではドライパッチを拾えたのか、なぜか蹴り出しが良く、クリーンエアの先頭走行で視界も良好だった。奇妙なことに、キャリアも終盤のこの歳になると勝利も思いがけない形で舞い込んでくるね(笑)」とご満悦。
引き続きシーズンフィナーレの“祭典”となる『バサースト1000』に向けシドニー・モータースポーツパークでの連戦が続くRSCは、11月13~14日に今度は陽の光のもとで“スーパースプリント”戦の開催が予定されている。