更新日: 2021.11.16 13:17
パスカーレ8戦5勝も霞む、TCR初代王者ウィル・ブラウン歓喜の初勝利/RSC第10戦シドニー3
午後14時を前にスタートした日曜最初のヒートは、ポールの優位性を活かしたパスカーレがレッドブル・アンポル・レーシングの2台を抑え切って、土曜からの連勝を飾る結果となった。
そして迎えた最終ヒートは、前方に並ぶ2台の強豪チームに対し4番グリッドから挑戦したブラウンが、戦略を駆使しての首位浮上劇を披露。アンダーカットを狙いアーリーピットを選択したエレバスの若きエース候補生は、2輪交換として作業時間短縮を図ると、その後にピットへ向かったウインカップ、SVGを逆転することに成功。
ここから背後の2台はチームメイト同士による“不毛な”ポジション争いを繰り広げ、ペースに勝る3番手SVGは無線を通じて再三のチームオーダー発令を要請したものの、これを頑なに拒否したウインカップと幾度ものコンタクトを繰り返すバトルが展開される。
この内部紛争にも助けられたブラウンは、わずか0.281秒差で2台を抑え切ることに成功し、チェッカー後には歓喜のドーナツターンを演じて自らのシリーズ初勝利を祝福する結果となった。
「この興奮と感動を説明する言葉が浮かばないよ。あのふたりを抑えてシリーズ初優勝を飾れるだなんて、誰が想像しただろう!」と、満面の笑みを見せた勝者ブラウン。
「スーパーカーのデビューイヤーで初優勝を挙げるなんて……僕らは今季、トップ10フィニッシュできるだけで喜んでいたんだ。レース終盤の状況はクールだったね。あのふたりがバトルし合って、その前を走るのは少しスリリングだったけれど、すごく楽しかった。いつだってレースに勝つのは最高だ。しかも僕はルーキーだし、これは実力以上の結果だ。でも今は心から興奮し、うれしく思っているよ」
一方、25周目にはチームから「ペースの速いSVGを先行させるように」要請されていたウインカップは、レース後、瞬間的に命令に逆らい勝利を目指して戦うことを選んだ自らの判断を「恐らく間違っていた」と反省の弁を口にした。
「僕らはお互いに激しくレースをしていた。競争力のあるマシンを走らせていると、往々にして起こり得る状況だ。確かにいくつかの議論があると思うが、冷静になった今は『間違った判断だった』と感じるのも事実だ。でも、あの瞬間ではそれが正しいと感じていたのもまた事実なんだ」と心情を吐露した現役フルタイム残り2戦のウインカップ。
一方、選手権リーダーを行くチームメイトのSVGも、この件に関し「ふたつの点で、僕は悲しくもあり、幸せでもある」と振り返った。
「表彰台はいつだって良いものであり、ウィル・ブラウンがキャリア初勝利を収める瞬間に立ち会えたのはとてもうれしい」と続けたSVG。
「でもジェイミーと僕はあまりにも激しく戦ったように感じている。幾度も不要な接触を経験したし、戦うことを選んでチームのためにワン・ツーのチャンスを棒に振ることになった。僕の方が速かったのは明らかで、優勝か2位になれたチャンスを失ったのは残念だよ」
最終戦『バサースト1000』を前に、引き続きシドニー・モータースポーツパークでの連戦が続くRSCは、11月19~21日に最後のスーパーナイト戦が予定されている。