今回のテストでは、各陣営とも“インターミディエイト・パッケージ”となる550PS仕様のエンジン出力で走行したが、8インチから7インチに縮小されたスポイラーの効果で30馬力程度のゲインが見込まれるという。

 その影響もあってか、初日の水曜からスピンやクラッシュを経験するドライバーも数多く出ており、オースティン・ディロンはセッション開始30分のターン2でリチャード・チルドレス・レーシングのシボレーを大破。デニー・ハムリンやカイル・ラーソンもあわやの場面に遭遇した。

 こうした状況に対し、ヘンドリック・モータースポーツのアレックス・ボウマンは、旧型モデルに比べて「このNext-Genカーのドライブはずっと難しい」とも語っている。

「もちろん、ドライバーはマシンをわずかにスライドさせることはできるが、スピンアウトする手前の領域が以前に比べてはるかに狭いと感じるんだ。もしかしたらファンは、来季より多くのクラッシュシーンを目撃することになるかもね」

 これに対しプロブストも「我々はつねに、世界最高のドライバーたちを走らせたいと以前から明言してきた」とし、規定変更が一定の効果を挙げていると認めた。

「車両規定に加えられた多くの変更を見ると、以前のような“サイドフォース”はなくなり、ある種の寛容さは失われたかもしれない。今回のスピンがすべてその影響とは言わないが、確かに新型マシンは少しエッジが効いているかもしれないね」とプロブスト。

「でも各チームがセットアップのダイヤルを調整し、そこは時間とともに改善していくだろう。どのようにグリップを失い、どのように回復するか、そしてどうしたら速くドライブできるのか。どこまでスライドを許容するかを把握し、慣れる必要もあるだろう。NASCARは簡単に運転できるクルマを望んではいないからね」

 一方、クルーチーフのビリー・スコットと再会し、旧知のエンジニアやメカニックらの多くと新世代NASCARのスタートを切ったカート・ブッシュは、新たな環境に加えてNext-Genモデルの個性を学ぶという難しいタスクに挑んでいる。

「消化すべきことが山積みだったが、これまでのところクルマに対する小さな発見を重ね、ある程度のスピードを見い出すことが出来たと思う」と語ったカート・ブッシュ。

「その後、タイヤの摩耗についてもう少し理解するために、10周のショートランを数回ほど繰り返した。これで小さなボックスをチェックし、今後はより大きなプログラムに向けて取り組めるはずさ。トランスアクスルで従来とは異なるし、車の後部にある多くの要素を変更することも出来る。あらゆる種類のセットが可能な、そんなパーツが盛りだくさんの……最高のオモチャだね!」

 今回のシャーロットでのテストに続き、一行は12月14~15日にはフェニックスに移動し、年明けの1月11~12日はデイトナでのテストを実施。その後もラスベガス、マーティンズビル、ホームステッドでの走行が予定されている。

2021年シーズン中の8月にも、23XI Racing移籍を発表していたカート・ブッシュ
「スチュワートハースやラウシュ、ペンスキーからのなじみの顔もある」と、新天地でのテストに臨んだ
「舞台裏でもTRDの人々に会うことができて、良い日だった。特定の分野で私が持っているすべての知識を、学びたがっている若いエンジニアやクルーに伝えたい」とカート・ブッシュ

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