しかしそのバートンは、静かな立ち上がりとなった決勝開始からステージ1が終了した62周目に、ケセロウスキーからのプッシュでウイリアム・バイロンJr.(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を道連れにウォールの餌食となり、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)もここで戦列を去ることに。
背後から一部始終を目撃していたハムリンは「6(ケセロウスキー)が21(バートン)をプッシュしていて、21がコントロールできなくなっていることがわかった。僕はチームメイト(カイル・ブッシュ)の後ろにいて彼を助けようとしていたが、周囲を囲まれほとんどボックスに入れられたような状況だった」と、連覇を含む17度目のデイトナ500スタートで初のリタイアという、無念の瞬間を振り返った。
一方、トヨタ陣営で気を吐いたのが僚友のマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)で、ステージ1の勝利に続き72周目のリスタートから130周目の終了までアンダーグリーンのコンディションで淡々と周回を重ねると、ドラフティングを活かして連続のステージ首位を手にする。
しかしピットタイミングで138周のリスタートからケセロウスキーが隊列を率いると、151周目のターン4でタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)がルーズになり、序盤にダメージを負っていたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)もここでストップ。さらにこのアクシデントでトゥルーエクスJr.やカイル・ブッシュのマシンも損傷を受けるなど、トヨタ陣営は立て続けに厳しい状況に追い込まれる。
レース終盤を迎えて優勝争いがさらに激化すると、190周目には6台が絡むマルチクラッシュが発生し、リスタートの195周目にはラップリーダーだったリッキー・ステンハウスJr.(JTGドアティ・レーシング/シボレー・カマロ)をケセロウスキーがプッシングし3台が巻き込まれるなど、ケセロウスキーはこの日に幾度も発生したアクシデントの起因となる大暴れを演じる。
予定された200周からリスタートし、残り2周の“スクランブル”となった勝負は、首位にたったシンドリックが僚友ブレイニーの猛攻をしのぎ切り、ウォレスの約3フィート(約91.4cm)先でフィニッシュラインへ。薄氷の秒差チェッカーを受けたシンドリックが、大舞台で歓喜のカップ戦初優勝を飾る結果となった。



