今年のルーキーは去年ほど目立った体制での参戦がないもののクォリティは高い。昨年のインディライツでチャンピオンになったカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、同2位だったデイビッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)、ふたりのアメリカ人ルーキーはトップカテゴリーでも戦闘力を発揮することと期待される。

彼らの他にも、昨シーズンの終盤3戦ですでにインディカーを走らせているカラム・アイロット(フンコス・ホリンガー・レーシング)、日本のスーパーフォーミュラで走っていた女性ドライバーのタチアナ・カルデロン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、昨年唯一の参戦で予選4番手と実力の片鱗を見せたクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が参戦する。(カルデロンはストリートとロードコースのレースのみ)
アイロットはすでに3レースを経験している点で優位にあるが、シリーズ唯一の1カーチームからの出場という点は不利。フォイトでエース扱いをしてもらえるカークウッド、RLLで優先順位が3番手のルンガー、小さなチームだが琢磨という経験豊富なチームメイトを持つマルーカス、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得するのはこの中の誰になるのだろうか。
ルーキーではないが、成長株としておおいに注目されているのが、昨年1勝したリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)だ。スピードのある彼を走らせるエド・カーペンター・レーシングは、オーナーのエド・カーペンターがレース出場をインディ500だけとして、チーム運営により力を注ぐ。チームメイトはコナー・デイリーに決定。チーム力を全体的にレベルアップさせることが今年の彼らの目標だろう。
昨年のインディ500でチームのインディカー初勝利を挙げたメイヤー・シャンク・レーシングも非常におもしろい存在だ。カストロネベスがフル出場になった上に2台目を委ねるのがパジェノー。
実績あるベテランコンビはペンスキーで一緒だった間柄なのでチームワークも上々でシリーズの台風の目となる可能性は十分。特に、インディ500で彼らは強さを発揮するだろう。

グロージャンを失ったデイル・コイン・レーシング・ウィズRWRが佐藤琢磨を獲得。このコンビネーションはどんな成果を得ることになるのだろうか。
オーバルレースに出場しなかったグロージャンだが、ロード、ストリートではどのコースに行っても速かった。そのマシンが今度は琢磨に委ねられる。優勝争いをするには今シーズン向けのレベルアップが当然必要だが、ベースとなるセッティングの競争力が高いことは確か。
DCRのマシンは実はオーバルでも速い。インディ500でのスピードは強豪たちも恐れているほどだ。そのマシンを手する琢磨はインディでの3勝目を強く意識している。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはオーナーの息子のグラハムを中心とする新体制へと移行した。未勝利だが、ここ数年でスピードは見せてきているジャック・ハーベイを招き入れ、新人のルンガーも採用。
レイホール二世は勝利から遠ざかって久しい。昨シーズンは琢磨にも勝利がなかった。チームとして再び勝てる力を身につけ、それをさらに強固なものとするための体制拡大は、初年度から成果を得ることができるだろうか。
開幕戦の舞台はフロリダ州セント・ピーターズバーグのストリート。昨年のレースではハータがポール・ポジションからの優勝を飾った。その彼は昨シーズン最後の2戦、ラグナセカとロングビーチで連勝しているので、シーズンを跨いでの3連勝達成を狙ってくる。
25日にプラクティス、26日に予選、そして27日決勝レースが予定されている。ひと足早く開幕を迎えるインディカー・シリーズ。開幕戦を制し、スタートダッシュを決めるのはどのドライバーか?