「背後にいるロガーノはグリッド上でもっとも攻撃的なドライバーのひとりだから、最終ラップでタイヤを“チャタリング”させ、ボトム(のライン)を開けてしまったときは焦ったよ。でもコーナー出口でうまくラインを抑え、なんとかブロックすることができたんだ」と明かしたバイロン。
これで木曜夜のNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズでも勝利を挙げ、両シリーズ制覇を成し遂げた男が、カップシリーズ通算4勝目、マーティンスビル初優勝を手にし、レース全体を通して両親をピットボックスに招いていた絶好の機会に、待望の今季2勝目を飾る結果となった。
「この優勝を母に捧げたい。昨年の同じ週末、彼女は一種の発作を起こして脳腫瘍と診断されたんだ。彼女がここにいることは多くのことを意味し、最後はコクピットにも母がいてくれるような気さえしたよ。皆さんのサポートに心から感謝し、母と勝利を分かち合えるこの素晴らしい瞬間を楽しみたいと思う」
一方、惜敗の2位フィニッシュとなったロガーノは、2022年開幕前の“Next-Gen”初レースとなったエキシビジョン戦を制してはいるものの、公式戦ではこの結果により37戦連続未勝利の記録を継続することとなり、実際「複雑な感情が渦巻いている」と、その心情を吐露した。
「最後のリスタートで最前列に並び、ウィリー(バイロン)はターン4を“台無し”にして僕を彼のところに近づけてくれた。それでも彼はブレーキチェックで本当に良い仕事をした」と最後の勝負を振り返ったロガーノ。
「彼は実際、鋭いターンインを見せていたし、僕を彼の後ろに詰め込みラインチェンジも加速勝負も許さなかった。僕のクルマは堅調に推移したが、勝利に近づきながらそれを実現できないのは最悪だ。2位でも“最低の気分”になるときはある。今日はもう……それだけさ」
3位ディロンに続き、今季の“予選最速男”ことライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が4位、そして『台風の目』となっている第6戦ウイナーのロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が続くトップ5に。
デイル・アーンハートJr.のひさびさ復帰参戦に沸いたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第8戦は、チームメイトのタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・GRスープラ)を最後の最後で逆転し、わずか0.677秒差で競り勝ったブレンダン・ジョーンズ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・GRスープラ)が今季初優勝。
そして前述のとおり完璧なピット戦略で、2016年以来参戦のトラックでも勝利を飾ったバイロンに対し、トヨタ陣営でタンドラTRD Proの2台体制を敷く服部茂章のハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)は、タイラー・アンクラムの16号車が10位、チェイス・パーディの61号車が29位でレースを終えている。




