しかしターン4のインサイドに飛び込んだカルヴェがハルムにヒットし、彼女のトラックはダメージを受け7番手へと後退。これに対し、レーススチュワードはカルヴェに5秒加算のペナルティを宣告する。
これで首位ラインアート追走部隊を形成したのがアルバセテとレンツで、レース中盤にはふたりともにラインアートを捉え、一気に後続を引き離しにかかる。
一方のリバースポールシッターも最後の表彰台スポットを死守しようとディフェンシブな走りに徹するも、背後にはキスとハーンの“別クラス”ふたりが迫り、10周目にはターン1イン側のボラードを薙ぎ倒しながら、キスがサイド・バイ・サイドを制して前へ。このバトルの余波でラインアートはハーンにも先行を許し、失意の5位フィニッシュとなった。
明けた日曜午前の予選でも王者キスが盤石のアタックを決め、わずか1回のフライングラップで2分02秒034を記録。ハーンとレンツを従え2日連続のポールを確保してみせる。
そのままレース3でもターン1からターン2への左右切り返しでハーンを抑え込んだキスは、前日の「再現ビデオのような」ドライブで連勝。こちらも前日と同じメンバーが並ぶ表彰台となった。
そして週末最終ヒートのフロントロウはカルヴェ、ハルムの因縁対決となるも、ターン3までにその2台を出し抜いたのが3番手発進だったレンツで、レース3の終わりにクラッチの問題を抱えていた男は、後続のバトルにも助けられ8秒のマージンを築いてトップチェッカー。終盤、フロントロウのふたりをパスしたアルバセテとハーンがポディウムに上がり、勝者レンツは今季3人目のウイナーになると同時に、週末すべてのヒートで表彰台を獲得する安定した戦いを披露した。
続く2022年のETRC第2戦は、6月11~12日にトレーラーにとって最もツイスティな東欧のサーキット、ハンガロリンクで争われる。



