更新日: 2022.05.30 10:22
アウディが6度目の栄冠。名門フェニックス、史上最多タイ周回数で2022年のニュル24時間を制す
だが、残り3時間を切ったタイミングのピットストップでのタイヤ選択が両者の明暗を分ける。先にピットに入った3号車メルセデスがスリックタイヤを選んだ一方、約10分後にピットに戻った15号車アウディは小雨に対応できるカットスリックをチョイスした。
この直後からコースの一部分で雨脚が強まり、完全なドライ路面用のタイヤを履く3号車のペースが落ちる。直前のピットインまで約3秒以内だったトップ2台のギャップは、次のルーティンピットインまでの約1時間で53秒にまで広がってしまう。
ゲットスピードは22時間目のルーティン作業で3号車のタイヤをスリックからカットスリックにスイッチするも、時すでに遅し。タイム差が44秒まで縮まったタイミングもあったが、雨を降らす雲が去りほとんどのクルマがスリックタイヤに戻した最終盤にはふたたび50秒台の差に。
結局、最後までこの差は縮まらず、ケルビン・ファン・デル・リンデ駆る15号車アウディが159周目にトップチェッカー。3号車メルセデスが55秒遅れの2位でフィニッシュした。総合3位はゲットスピードのもう1台である4号車メルセデスAMG GT3が入った。
総合4位は残り30分までは20号車BMWのものになると思われたが、シューベルトのマシンはエキゾースト付近から白煙を吐きながらガレージに入ってしまう。これにより5番手につけていた22号車アウディR8 LMSエボII(アウディスポーツ・チーム・カーコレクション)が4位入賞を果たした。
同門の16号車アウディR8 LMSエボII(シェーラー・スポーツ・チーム・フェニックス)が総合5位で続き、ここまでが2014年に更新された史上最多周回数に並ぶ159周を走破している。
なお、トップチェッカーを受けた15号車アウディにはレース最終盤のピットストップ時のエンジン始動について、ピット作業違反による32秒のタイム加算ペナルティと罰金が科されたが、順位には影響していない。
■62歳、木下隆之がBMW M2 CSレーシングでクラス優勝
夜間のアクシデントで僚友44号車ポルシェ911 GT3 Rを失ったファルケン・モータースポーツは、33号車ポルシェ911 GT3 Rが総合9位でフィニッシュ。ポルシェ陣営では、レース時間残り1時間と数分のところで当時9番手を走行していた18号車911 GT3 R(KCMG)がクラッシュを喫し戦線を離れている。
2台のトヨタGRスープラGT4でSP10クラスに挑んだトーヨータイヤ・ウィズ・リング・レーシングは、83号車が総合43位/クラス5位でフィニッシュし、僚友84号車は総合93位/クラス8位となった。
カップ5クラスを争った木下隆之組880号車BMW M2 CSレーシング(シューベルト・モータースポーツ)と、小西隆詔組の871号車BMW M2 CSレーシング(アドレナリン・レーシング)は前者に軍配が上がり、木下組880号車BMWが総合48位でクラス優勝を達成。小西組は総合91位/クラス2位でレースを終えた。
SP3Tクラスでの優勝を目指し2019年以来、3年ぶりにニュルブルクリンク24時間に挑んだスバルテクニカインターナショナルの114号車スバルWRX STIは、既報のとおりアクシデントにより29日朝の段階でリタイアとなっている。