更新日: 2022.07.06 12:32
タイラー・レディックが今季5人目のカップ初優勝、シーズン13人目の勝者に/NASCAR第18戦
アメリカ・ウイスコンシン州エルクハート・レイクに位置する伝統のトラック、ロード・アメリカで開催された2022年NASCARカップシリーズ第18戦『クウィック・トリップ250』は、ポールシッターの前戦勝者チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を降したタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が、カップ参戦92戦目にして待望の初優勝を達成した。
そのレディックは今季5人目のカップシリーズ初優勝者となった上、シーズン13番目の勝者に。また、テキサスCOTAでのロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)、ソノマのダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)に続き、今季はロードコースの全戦でシリーズ初優勝者が誕生することとなった。
チェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)のプラクティス最速で幕を明けた7月2~3日の週末は、予選に入っても14号車のマスタングがタイムボードの最上位に陣取ったままセッションが進むと、最後の最後で前戦ウイナーのエリオットが意地を見せる展開に。
2020年チャンピオンが最後のアタックでベストを更新し、2番手ブリスコ、3番手にディフェンディングチャンピオンの僚友カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を従え、今季2度目のポールウイナーとなった。
「うまくいけば、明日は(勝利を飾った)昨季と同じ結果になるだろうね」と、すでに連勝への手応えを口にしたエリオット。「これが重要な点だが、エンジンワークショップからすべての部門が最善の努力を重ね、ここに最速のクルマを持って来られた。ヘンドリック・モータースポーツのクルー全員に感謝したい」と、変わらずチームへの謝意を語ったエリオット。
「このトラックではオーバーテイクするのが本当に、本当に難しいんだ。ロードコースではつねにそうだが、明日はできる限りトラックの位置を維持してみせるよ」
迎えた決勝は随所でサイド・バイ・サイド、ブレーキング勝負が繰り広げられながらも、コーションのない整然とした展開で進むと、ステージ1は2番手発進のブリスコが制し、オースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)、アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と続いていく。
■「レースを通じてエリオットと同じ位置にいることができた」と勝因を語ったレディック
続くステージ2もアンダーグリーンでのピット作業を強いられるなか、ライアン・ブレイニー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が勝利し、エリオットは9番手、予選4番手からスタートしていたレディックは10番手で通過。直接対決の構図で最終ステージへと向かう。
フロントロウから1対1のマッチアップを繰り広げた2台は、お互いにピット作業のタイミングを合わせると、残り17周の時点でターン6から7への攻防でインサイドを奪ったレディックが、華麗なオーバーテイクを成功させる。
続く周回では、ピットストップのタイミングで暫定首位にいたハリソン・バートン(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)をかわしたレディックが、残り16周でついにラップリーダーに立ち、そのまま徐々にエリオットとのマージンを広げる速さを披露。最終的に3.3秒差をつけたレディックが、最高峰での初勝利を手にした。
「エリオットが速いことは確かにわかっていたが、レースを通じて彼と同じ位置にいることができた。最後のピットシークエンスを同期させれば、彼の近くで素晴らしいショットを決めるチャンスもできるだろう、と考えていたんだ」と、喜びを語ったレディック。
「残念ながらピットで前に出ることはなかったが、ありがたいことにターン6で彼がわずかにミスをした。僕たちは手の届くところにいて、ちょうど良い機会をモノにすることができたよ」と続けたレディック。
「彼は僕を追い詰めるつもりだっただろうし、最後は僕もいくつかの間違いを犯し始め、ブレーキのケアをする必要がでてきた。でも、それも心配いらなかった、本当に良い形だったね。なんて日だろう!」
この日最多の36周をリードしたエリオットが2位となり、3位にラーソンとヘンドリック・モータースポーツ勢が続くトップ3に。その背後にはチャスティン、スアレスと、2022年“台風の目”とも言えるトラックハウス・レーシング勢が並ぶ結果となった。
一方、同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第16戦もホワイトフラッグまで、ポールシッターのラーソンが主導権を握り続けたものの、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がセクター1からターン3へのブレーキング勝負を制し、大逆転での今季4勝目を飾っている。