同じく5周目には背後にいたミケリスもスローとなり、ファイナルラップでは再びフィリピの左リヤが悲鳴を上げ、実に出走6台中の半数がタイヤの問題でレースを放棄する事態に。独走でチェッカーを受けたアズコナのヒョンデに対し、タンベイ、ジェネのクプラEKS陣営は、マージンを残した走りに切り換えてフィニッシュラインへとマシンを運んだ。
こうした結果を受け「現時点でクラッシュの原因が正確に把握できない」ことや、現実的な車両修復が不可能との判断から、ロメオ・フェラーリは『Pool Furious』のスーパーファイナル出走を取り止めることを決断。同組のクォーターファイナル、セミファイナルを制していた前戦の“キング・オブ・ザ・ウイークエンド”マキシム・マルタン(アルファロメオ・ジュリアETCR)は、戦わずして勝利の権利を逸することとなった。
その週末最終ヒートもトラブルの連鎖から逃れることはできず、今季はシートシェアでエントリーするヒョンデ・モータースポーツNのニッキー・キャッツバーグ(ヒョンデ・ヴェロスターN ETCR)がファイナルラップまでレースを支配する。
しかしマティアス・エクストローム(クプラe-Racer)や、その僚友トム・ブロンクビスト(クプラe-Racer)を従えてコーナーが残り3つとなった時点で、首位を行くヒョンデの左リヤが限界を超え、そのリードが泡と消える結末に。この『Pool Furious』はエクストローム、ブロンクビストの1-2となったが、週末最多の100点を稼いだ『Pool Fast』勝者のアズコナが、今季初の“キング・オブ・ザ・ウイークエンド”を獲得した。
「今季、ヒョンデとともにこの結果を達成したいと思っていた。ここヴァレルンガは昨年も初めての“キング・オブ・ザ・ウイークエンド”を得た場所だし、非常に前向きな瞬間だ。僕らはチームとして良い改善を施し、クルマからすべてを最大限に活用した。チームに感謝したいと思うよ」と、同条件下であらゆるリスクを回避した勝者アズコナ。
一方、同じスーパーファイナルでの事故の後、サーキットの医療センターから地元の病院に搬送されていたシュペングラーは、レース後に声明を発表し「脊椎骨折と診断された」ことを明かしている。
「日曜日にヴァレルンガで事故が発生した後、ローマのパイデイア・クリニックの医療チームから脊椎骨折と診断されました。現在の焦点は、今季の残りの期間に向け、可能な限り早くクルマに戻るための迅速な回復に向けられています」と綴ったシュペングラー。
「ターン2でクルマのコントロールができなくなった原因と、その技術的な問題については現在まだ調査中です。医療チーム全体、FIA ETCR、そして私を助け、サポートしてくれたすべての人に感謝しています」



