更新日: 2022.07.27 13:20
チャスティンとの“宿敵対決”を制したハムリンが急転直下の失格劇。エリオットが4勝目/NASCAR第21戦
「つまり、あなた方は僕に何をして欲しかったんだ? 僕に何を期待した? 我々は彼からポジションを奪い返し、彼はレーストラックの幅を使い果たしてしまった。それだけのことだろう? お互いディープにドライブし、彼は僕が激しく勝負するだろうことを知っていた。僕が経験させられた“荒廃と漂流”のあと、今日は彼がそれを味わっただけのことさ」とハムリン。
一方のチャスティンも、ハムリンに対しては殊勝にも「借りがある」ことを認め「皆は、僕らが何を負っているのかを知っていたと思う。そして今日、彼はそれを『現金化』した」と応じた。
「自分の行動が結果をもたらすことを、僕としても良く理解しているつもりだ。この1~2カ月の間、僕はラインをまたいで彼のレースを破壊したことを知っていたし、彼は今日、それを返すことに決めたんだろうね」と続けたチャスティン。
「もし、僕らの間に過去の歴史がなかったとしたら、2カ月前にもっと賢くレースをしていたとしたら……ターン1には充分な余裕があっただろう。この1~2カ月間、それでは遅すぎることに気づいたよ。その学びを得て……(次戦7月30~31日の第22戦)インディに向かうとするよ」
こうして幕を閉じたかに見えたレースウイークにはまだ最終幕が残り、優勝者であるハムリンと2位カイルのJGRカムリには、車両のエアロダイナミクスに影響を与えるフロントフェイシアに異素材が発見される。
シリーズのマネージングディレクターを務めるブラッド・モランは「本来あるべきではない場所に、このような素材があった理由はまったく正当性がない」として、11号車と18号車の違反について月曜正午までチーム側からの上訴を待ち「最終的な裁定を判断する」とした。
しかしその上訴期限も過ぎ、ここで2台の失格が確定。NASCARの競技担当上級副社長であるスコット・ミラーは、2019年の失格規定導入以来初の適用となった事例に対し、ラジオを通じて「非常に驚いているし、とても残念だ」とのコメントを残した。
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「それはノーズ下部からスプリッターにも繋がるロワーフェイシアに位置していた。承認されたCADファイルに対し、我々が事実上その形状から逸脱していると判断したパーツは、ビニールの余分な層だった」と続けたミラー。「JGRの意図について推測したくはないが、しかし、それはクルマの空気力学に影響を与えると信じるに足る場所だったよ」
一方、当のJGRもレース後に詳細な車両検証を実施し、チームで競技ディレクターを務めるウォーリー・ブラウンは次のような声明をリリースした。
「レース後の11号車、18号車に実施した違反検証にて、双方の車両とも1枚のクリアテープがフロントフェイシアの下端それぞれ、ホイールハウス開口部左前と右前に施工されていることがわかりました。追加された部品は幅2インチ、長さ5インチ半、厚さ0.012インチで下部に取り付けられていました」
「変更されたビルドプロセスに対し組織内で適切に精査されておらず、NASCARのルールに違反していることを認識しています。この間違いをお詫び申し上げます。また、二度と起こらないよう新たなプロセスへの修正を実施していきます」
これにより「他人の不幸を祝うのは本当に正しいとは思わないし、トロフィーはハムリンが手元に置いていても構わない」と語った3位のエリオットが正式な勝者となり、タイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)、ダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)のトップ3に。注目のタイ・ギブスは併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第19戦でノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)に惜しくも敗れて2位となり、カップ初戦も完走18位で終えている。
一方、こちらはひさびさ併催となったキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第16戦は、レギュラーシーズン最終戦をチャンドラー・スミス(カイル・ブッシュ・モータースポーツ/トヨタ・タンドラTRD Pro)が勝利で飾り、ゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)がランキング首位を獲得。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズは、16号車タンドラTRD-Proを駆るタイラー・アンクラムが16位、チェイス・パーディの61号車タンドラは11位で終え、プレイオフ進出を逃す結果となった。
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