2023年創設の新生STCCでは、現在シリーズに参戦するPWRレーシングのBEV開発プロジェクト“PWR002”が発展し、新たに設立されたEPWR社を介して供給される電動ツーリングカー『テスラ・モデル3』や、クプラ製モデルがベースのツーリングカーなどが参戦する計画だが、この『NXT Gen Cup』ではレストラップ・レーシングが開発中の電動モデル『ミニ・クーパーSE』をベースとした230PS級のワンメイク車両『LRT NXT1レースカー』が採用される見通しだ。
この新たなサポートシリーズに向けては、この冬のうちにも仮想空間を活用したシミュレーション・レーシングシリーズが開始され、優勝者は2023年シーズンの参戦費用全額免除でのシートが確約される。
こうしたアナウンスを経て、木曜3時間のテストセッションで幕を明けた週末は、通常の金曜フリープラクティスでも王者ダールグレンが先行。続くFP2こそアンドレアス・バックマン(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が最速を奪ったものの、レース1のグリッドを決める予選Q1は59秒366、続いてレース2向けのQ2では59秒159とさらにタイムを削ったチャンピオンが連続ポールポジションを確定。2018年に樹立されたTCR規定のコースレコードを更新する速さを見せつけた。
明けた日曜はフルウエットの状況でレース1を迎えるも、視界良好のポールシッターは後続を寄せ付けずにオープニングヒートを制覇。続いて14時からのレース2も引き続きウエットの中で連勝を飾り、ダールグレンはSTCCキャリア通算50勝の節目に到達するメモリアルウインを手にした。
「この週末は魔法のようだったね。いや、僕はいつも『魔法のよう』だって繰り返しているけれど、それが日曜に3つのレースに勝った後の、正直な気持ちなんだ」と、チャンピオンシップの歴史のなかでも2冠を記録するヨハン・クリストファーソンが、かつて1度だけ記録した偉業を“リピート”したダールグレン。
「レース2では通算50勝に到達できたし、これを可能にしたのは素晴らしいクルマであり、素晴らしいチームだ。35勝目からここまではあっという間に過ぎてしまった。これもすべてPWRレーシングドライバーというプロ集団のおかげだよ」
各ヒートで2位以下の面々が入れ替わったこともあり、ランキング首位を行くダールグレンはオリバー・セーデルシュトレーム(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)に対し31ポイント、宿敵トビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)には40ポイントもの大量リードを築くことに。続くSTCC第4戦は、8月19~20日にカールスクーガことゲラーローゼン・アリーナで争われる。


