この活気に満ちたスプリントにより勝敗の行方は最終コーナーまでもつれ「エラー、集中力の過剰または欠如で、最終結果を変える可能性があった」と語った2019年チャンピオンが、現役最年長の貫禄も示してトップチェッカー。
ルノーとの死闘を繰り広げたビビアンのシトロエンが殊勲の2位、そして最終ポディウムスポットにもプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングの新鋭マティアス・クラベロ(ホンダ・シビックSTC2000)が浮上し、この土曜からルノー、シトロエン、ホンダというマルチブランドの表彰台が実現した。
明けた日曜正午のファイナルでは、その前日3位表彰台のクラベロがスタート前から悲運の主役となり、トラブル修復を必要としたシビックはピットスタートとなり、4番グリッドが空いたままでのシグナルグリーンに。
これにより、前日計時予選で最速となったポールシッターのミラを先頭に、モンテネグロとアルドゥソの3台が主導権を握っていく。しかし高速オーバルで風切り役を強いられたミラはペースが伸びず、逆に6番手発進だったシボレーYPFチームの王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が、みるみるうちに先頭集団に接近。シケインへのブレーキング競争から、左右の切り返しで一気に3台を料理し、ここで首位に躍り出る。
しかし猛追の無理が祟ったか、続くラップで17歳モンテネグロのルノーに差し返されたシボレーは、その直後に水温のアラートが点灯して敢えなく戦線離脱に。この機会に乗じて浮上して来たTGRAのエース、サンテロのカローラと、アルドゥソのシビックを交えた三つ巴の展開となる。
レース終盤はライバルのスリップストリームを活用し、残るプッシュ・トゥ・パスの回数も睨んだ神経戦の様相となり、ここでもルノー陣営所属時代にシリーズ連覇を記録するチャンピオン経験者が優位に立つ。結果、若手を退けたホンダ陣営移籍3年目のアルドゥソが最初にチェッカーフラッグを受け、プーマ・エナジー・ホンダ・レーシングにラファエラでの初優勝をもたらす結果となった。
2位には予選10番手から脅威の挽回を見せたトヨタのサンテロが「待望、かつ復活の表彰台」を獲得し、3位のモンテネグロは「いつでも勝つことができる」と宣言するとおり、その才能を証明するポディウムに。その背後には4位ペーニャ、5位ミラとルノー勢が続くトップ5となり、この結果により175ポイントとしたペーニャがランキング首位に躍り出た。
これでスタンディング上では、静かな週末を過ごしたベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)と、待望の表彰台を得たサンテロが168ポイントの同率2位で追う展開に。続くSTC2000第8戦は、8月12~14日に中部ロサリオ近郊に位置するアウトドローモ・サン・ニコラスで争われる。


