更新日: 2022.08.02 14:16
その実力は本物。タイラー・レディックがロードコース連勝でカップ通算2勝目/NASCAR第22戦
残り18周のリスタートでは、レディック、ブレイニー、そしてベルらが肉弾戦を演じ、この際のダメージが蓄積したか、ベルのカムリは右フロントタイヤが吹き飛びふたたびびのコーションとなる。このイエロー直前にはそのベルとの対決を制し、レディックを追走していたチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も、80周目のリスタート直後にターン1の3ワイドでサンドイッチ状態に陥りスピン。この結“”オーバータイム”リスタートの引き金となってしまう。
迎えた85周目の最終決戦は、首位レディックとその隣に並んだ昨季勝者A.J.アルメンディンガー(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)に対し、5番手にいたチャスティンが、なんとブレーキングを回避するかのようにオーバルのエスケープロードへ突進。一方で、ターン2ではアルメンディンガーと絡んだブレイニーが“Tボーン”の横向き状態でプッシュされ、この2台は大きくポジションを失うことに。
結果、ラスト1周でレディックの前に立ちはだかったのは、アクセスロードから復帰してきた2022年の“台風の目”チャスティンで、2台はインフィールドで左右を入れ替えながら、サイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げる。
しかし最終セクターで左右スイッチから、絶妙なトラクションを掛けたレディックが前に出ることに成功し、予選アタックのみならずレースラップでもIMS最速の座を証明してのトップチェッカーとなった。
「僕らは自分たちに何ができるかを知っていたし、ロード・アメリカでやったことを再現しただけさ」と、最終的にこの日最多の38周をリードしたレディック。「ここインディアナポリスでそれができたことを本当にうれしく思うし、ブリックヤードに少しキス出来たことに本当に興奮しているよ」と続けたレディック。
しかし、最後の勝負となったチャスティンの型破りな戦略を見て、少し「ショックを受けた」と明かした。
「さすがに『う~ん』と、考え込まされた(笑)。もちろん僕らも考慮していたシナリオで、ターン1で行き場がない時はアクセスロードに逃げるのも手段だ。でも、彼が僕より先に行ったなんて信じられなかったよ。だから彼がペナルティを受けるかどうか、ちょっと待っていたんだ。本当に驚いたし、それをやろうとしたロスには脱帽だが、うまくいかなくて本当に良かったよ(笑)」
このチャスティンの策略に対し、懸念を表明したNASCARのレーススチュワードは、レースタイムに30秒加算のペナルティを科し、チャスティンは27位に降格。結果、2位にチーム・ペンスキーのシンドリック、3位ハリソン・バートン(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)のトップ3となった。
「ターン1で混乱しないようにしただけなんだ」と、レース後に釈明したチャスティン。「僕らはターン1に向け4ワイドの状態で、これ以上は右にステアすることはできないと判断して、NASCARのアクセスロードに退避した。僕らのクルマに対する純粋な反応でもあったし、練習中にたまたまターン1をオーバーシュートしてしまい、アクシデントを避けて合流した場所に戻っていた。その経験を活かしただけさ」
プレーオフがあと6戦後に迫ったNASCARエクスフィニティ・シリーズ第20戦は、カップでも躍動した“AJ”が今季3勝目を挙げ、ロードコースでの全勝記録を継続。
一方、同じインディアナポリスのブラウンズバーグに位置する、レースウェイパークで開催されたNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第17戦は、ファイナルラップでゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)を抜き去ったグラント・エンフィンガー(GMSレーシング/シボレー・シルバラードRST)が、プレーオフ最初のイベントで今季初優勝を達成。
服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズは、トヨタ・タンドラTRD Proの16号車タイラー・アンクラムがトップ3争いを展開しての今季最上位6位、チェイス・パーディの61号車は27位でレースを終えている。